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商 品 名 | 鰹荒仕上節の削り節 |
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原 材 料 | 鰹荒仕上節 |
賞味期間 | 1年 |
保存方法 | 開封前は常温、開封後は冷凍庫・冷蔵庫保管 |
枯節ならではの濃厚なだしがとれます
近海または南方沖で獲れた、高鮮度、そして、脂肪分のやや多い(コクのあるだしがでる)鰹を原魚に製造された荒節の表面(タール分)を削り、カビを付けて枯らせた鰹荒仕上節を原料としています。
荒節の中では仕上節に 一番近い製造工程を施した原料です。カビの効果で脂肪分が分解され、よりまろやかでしっかりとした だしがとれます。あらゆる料理のだしに適した削り節です。
「市販の花かつお(削り節)は本節や亀節を削った物ではない」とか
事ある毎に申し上げているので、聞き飽きた方も多いかと思いますが、『鰹荒仕上節の削節』の存在価値はまさにそんな所にございます。
その昔、私の爺さん(初代店主)が
「荒節を削って作った削り節なんて鰹節ではない」
なんて言い出しまして、「本物の削り節を作ろう」と仕上節を原料にした削り節を製品として売り出してしまいました。この製品が、後々、『鰹荒仕上節の削節』となります。
仕上節の価格は荒節の2倍程度は平気でしますから、まともに削り節にすると、その削り節の価格も2倍近くになります。
でも、そんな高い削り節、業務用では、絶対に売れない。
商売として成り立たせるには仕入れを安くする以外に道はない。
そこで、鰹節の入札会で、エアポケットに入ったごとく、スッと価格が下がるタイミングを見計らい札を入れ、安い仕上節を買っては原料にしていたようです。
いくら安い仕上節を仕入れると云っても限界がありますから、儲けの薄い商品でしたが、荒節の削り節ではもの足りない板前さんには好評でした。
昭和30年代、板前さんも毎朝かつお節を削ることが面倒になり荒節を削った「花かつお」の需要が業務用でも増え始めた頃の話です。
時代は移り、「荒仕上節」というジャンルのかつお節の製造が始まります。
「荒仕上節」とは「荒節」を製造し、その表面についているタールを削り取り、カビをつけた枯節です。JAS(日本農林規格)の決まりでは2番カビまでつければ枯節と謳えます。
工程の字面だけを見ると仕上節と同じ工程で作られた「荒仕上節」ですが、作り方が荒っぽいと言うかぞんざいですので、その分安上がり。「荒節では物足りないが仕上節では高すぎる」という要望に応えた革新的な削り節原料専用のかつお節です。
実際、5グラム程度の小さいパックに入っている削り節やお蕎麦屋さんがつかう本枯の鰹厚削りの原料などに利用されています。よく、めん汁の広告で「枯節使っています」なんて書いてあって本節の写真が横に出ていますが、実際に使っているのは「荒仕上節」のはず。もっとも、どの程度の量を使っているかはわかりませんが・・・
さて、弊店の話に戻りましょう。
先ほど申し上げたように、
「いくら安い仕上節を仕入れると云っても限界があります」
ので、「荒仕上節」は有り難い存在です。
でも、本物の仕上節とはやっぱり違う。
そこで
「荒仕上節は使うが、その原料となる鰹と製造家を吟味しよう」
と云うことに相成りました。そこで、
仕事が丁寧な荒節製造業者にお願いして、近海の鰹を原魚にした、「荒仕上節」を作っていただき原料とすることにしたのです。
ところが、この「近海の鰹」が曲者でして、日本近海で沢山の鰹が獲れますが、その殆どが、お刺身用に出荷されてしまいます。お刺身用の方がずっと高値で売れるので、なかなか鰹節の製造には回りません。
でも「近海の鰹」が必要ですから、数少ないチャンスには必ず原魚となる「近海の鰹」を仕入れてもらうよう製造家には頼んでいます。
ある意味、神頼みのような仕入れをしていますので、一年分以上の在庫を常に抱えていなくてはなりません。結果、好むと好まざるにかかわらず、相当に枯れた原料を削ることになります。
今(この文章は2004年に書きました)、『鰹荒仕上節の削節』に削っている原料は一昨年の秋口に九州沿岸で獲れた鰹から作った「荒仕上節」を使っています。 出来上がってから一年間は寝かせた節を削っていることになります。
悲しいことに、年々、「近海の鰹」をかつお節加工用に仕入れることは難しくなってまいりました。特に削り節原料用となると、仕入れ価格の上限が低いので、尚更です。
もしかすると数年後には『近海』の看板を降ろして、単なる、『鰹荒仕上節の削節』となってしまうかもしれません。
その時はその時、また、何か方策を考えます。
ココまでの文章は2004年に書きました。
2007年11月、残念ながら、近海の看板を降ろさざるを得なくなり、商品名も「鰹荒仕上節の削節」に変更しました。
原料の能書きは飽きたから、味についてはどうなの?
と、そろそろ聞かれそうです。
一般的には東日本の方は枯節を好み、西日本の方は荒節を好むと言われています。
味の善し悪しはお好み次第が正解ですが、あえて、私の好みを言えば、ダシにはやっぱり枯節です。
最近、毎朝、弊店の削り節で滅茶苦茶に濃いダシをとって味見をしています。お湯150ccに対して30gのかつお節ですから、強烈です。
でも、ここまで濃いダシにすると違いがよくわかる。
枯節が一番雑味がなく、旨くて飲みやすいダシになります(普通の濃さなら、どれもこれも旨いのですよ、念のため) 。
「カビが脂肪分を分解して旨み成分に変える」ことが実感できます。
先人は凄い事(カビ付けの効用)を発見したと再認識しています。
『薩摩型本節の削節』(本物中の本物の本節を削った削り節です)に比べれば、さすがに雑味を感じてしまう『鰹荒仕上節の削節』ですが、やはり、枯節の削り節はひと味もふた味も違います。
先人の英知が作り出した枯節の文化、ぜひ、ご体感ください。
鰹荒仕上節の削り節を使って
どんな料理をお作りになりますか?
第十五回 聴だしの会
利きだし師の方々のご感想、少々さわりを紹介させていただきます
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