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大つぶし

第六回 聴だしの会

 

「大つぶし」を聴きだす(平成15年3月)



店主あいさつ

   六回目の「聴だしの会」にも、多彩なご感想を寄せていただきました。 「利きだし師」のみなさま、本当にありがとうございます。

大つぶし 冬菇

   まずは一応、一般的な能書きを聴いてください。

直径が6㎝~9㎝以上もある特大で肉厚な乾椎茸が『 大つぶし 』です。百聞は一見に如かず、 左側の写真が大つぶし、右側が普通の冬菇です。直径が約36㎝のざるに入れて写真を撮りました。 中華料理には欠かせない素材でございます。

昨年10月にNHKの「ためしてガッテン」にて乾椎茸の調理法が取り上げられたのを機に、 椎茸屋さんにも色々と取材して、乾椎茸の旨みを最大限に引き出す方法 『 正調 乾椎茸の戻し方 』をまとめました。 今回の聴だしの会では、「利きだし師」の方々にこの「正調 乾椎茸の戻し方」もお試しいただきながら、 乾椎茸の王様「大つぶし」のお味見をしていただこうという趣向です。

   私も「利きだし」をやってみました。 何を隠そう、我が家の倅どのは椎茸が大嫌い。そこで今回は、『 正調 乾椎茸の戻し方 』 に加え、ガッテン流「椎茸の香りを抑える秘策」を駆使して、椎茸嫌いの倅に「大つぶしのステーキ」 を食べさせる、がテーマです。

『 正調 乾椎茸の戻し方 』にのっとり、24時間冷蔵庫で水浸けした「大つぶし」を取り出します。 完全に戻った状態です。戻し汁を火にかけ、一度、沸騰させアクを取り、味見です。なるほど、甘い戻し汁。 乾椎茸の戻し汁を「椎茸ジュース」と呼んでいるお客様がいらっしゃいますが、まさにジュースです。 サラッとスッキリで飲みやすい。24時間待った甲斐がありました。

さて、ここからガッテン流の秘策です。戻した椎茸を水に入れ、火にかけ沸騰する前 (鍋の周りの部分に泡がぽこぽこ出始めた頃)に火を止めます。ここで10分放置します。 椎茸を50~70℃の温度にして保持すると、旨味成分が5割ほど増すそうです。 そして、10分間沸騰させると、椎茸のニオイというか香りが蒸発して、椎茸嫌いの子供も 食べられるようになる、こんな段取りでございます。

こうして旨味を増やし香りを消した大つぶし、水気を軽く切り、軸を取り、まるごとバター焼き にしました。ガブリと噛みつくと、まさにジューシーなステーキ。「椎茸は本来こんな味なんだ」 と再認識させられます。ただ、肉厚すぎて、アゴが疲れるのが玉にキズ。

さて、我が家の長男が恐る恐る噛みつきました。一口食べてギブアップです。 「滅茶苦茶に椎茸の味がする・・・」どうやら、椎茸の味が本当に嫌いのようです。 椎茸嫌いの倅には可哀想なことをしましたが、椎茸好きには堪らない夕食となりました。

 

   ごめんなさい。いつもながら前説が長くなりすぎました。

   「利きだし師」の方々からのご感想を参考にして、ご自分の お好みで「大つぶし」をお使いいただけたら幸いです。

 

   ではトップバッター、エンヤ さま お願いします

店主ごあいさつ

 

利きだし師の方々

 

エンヤ さま

 

玉将 さま

 

捨丸 さま

 

あっこ さま

 

千代子 さま

 

チリ さま

 

メシヤの子 さま

 

奥薗 壽子 さま

 

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大つぶし

第六回 聴だしの会

 

「大つぶし」を聴きだす(平成15年3月)



エンヤ さま から聴く

Q1.どんな料理に使いましたか?

うどんの具、鍋料理

Q2.ご感想を聴かせてください

最初見たとき,正直ビックリしました。あまりにも立派な「お椎茸様」だったので。

これは気軽に食べるなんてもったいない,しばらく飾っておこうと思えるくらい、
それは立派でした。

せっかくのお姿ですから包丁を入れないで料理したいと思いました。
うどんの具には何も味付けせず、うどんのつゆで少し煮ただけでしたが、しっかり味がして、 下手に煮なくてよかったというくらい美味しくいただきました。

とにかく食べ甲斐があります。一つ乗っているだけでおなかいっぱいになります。
そして一転、鍋料理にはカニと一緒に食しましたが、 カニから出たお出汁を吸って本当においしかったです(ただしこっちはさすがに2等分いたしました(^^ゞ)。

Q3.どんな料理に使ってみたいですか?

甘辛くしっかり味付けした含め煮もやってみたいですね。

Q4.その他

戻ったしいたけを見て、家族もびっくりしていました。

「こんな立派な干ししいたけ、はじめてみた。これはおいしいねぇ」

うどんも必死(^^ゞで食べていました。

店主ごあいさつ

 

利きだし師の方々

 

エンヤ さま

 

玉将 さま

 

捨丸 さま

 

あっこ さま

 

千代子 さま

 

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大つぶし

第六回 聴だしの会

 

「大つぶし」を聴きだす(平成15年3月)



玉将 さま から聴く

 

店主より

玉将さはお手持ちの「大つぶし」と弊店の「大つぶし」を比較して、以下の写真とご感想をお寄せくださいした。


左:伏高さん分                          右:自宅保管(半年前に購入)


水に浸ると伏高さんのは赤味をおびている。割れ目も深い。素人目にも左のほうがモノがいいと思う。

15時間後、だしの溶出色は同じだが香りは圧倒的に左が強い。だしの味も左が濃い

9L寸胴に、豚骨白濁スープで炊き出し4時間後、戻し汁ごと一個を投入。 2時間後、かつおぶし様の乾物臭(良い香り)がした。豚骨との複合で出る香りだろうか?

普段、豚骨白濁には、乾椎茸は使わないが呈味力がかなりあり、味に深みが出た、また使ってみたい。

大つぶしは椎茸の歯ごたえがよく具にもよい。
今回は鶏の濃縮だれで味付けしたが、食感が酒蒸しアワビに近いので、ホタテの柱と炊いたら極上ではないか?

自家分乾椎茸は微塵切りにして、トマトベースのロール白菜の具にした。 戻し汁もスープに使用した。相性として、トマト、白菜はグルタミン酸、椎茸はグアニル酸なので挽肉は脂身が少量あればいい程に旨味が出る。 脂身はなくともよい。具は他に人参、玉ねぎ等。

店主ごあいさつ

 

利きだし師の方々

 

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大つぶし

第六回 聴だしの会

 

「大つぶし」を聴きだす(平成15年3月)



捨丸 さま から聴く

Q1.どんな料理に使いましたか?

イ.バター焼き
ロ.フォアグラとのコラボレーション
ハ.海老のすり身と合わせて
ニ.干し貝柱とのスープ(副産物)

Q2.ご感想を聴かせてください

イ~ハ全ての料理において、視覚的には「デカイ!」という圧倒的なボリューム感を感じ、 また口に運ぶとその香りに圧倒され、更には肉厚の椎茸を「噛み切る」という他の食材では なかなか味わうことのない食感を満喫できました。

特別な時や、気合を入れて作る和食には高価な「どんこ」を使うものの、 普段格安の中国製を使う事が多く、今回の「大つぶし」の香りと味には驚嘆!

    
イ. 「バターと醤油」の組み合わせは、日本人にだけ許された禁断の組み合わせ…。
フライパンの上で溶けて泡立つバターの香りと、一気に泡立ち蒸発していく醤油の香り…。
それだけでも、十分に五感を刺激するのですが、そこに「大つぶし」が加わることで、 更に絶妙のコンビネーション。
調理中の香りこそ、バターと醤油に軍配が上がるものの、 口の中に放り込んだ瞬間!
三つの香りが融合…最高に素晴らしいハーモニー…感動的な味わいでした。
ロ. こちらは、実験的にやってみた料理…少量のバターと植物油で焼き上げた「大つぶし」と、 強力粉をまぶしてから一気呵成に焼き上げた薄切りのフォアグラを添えたもの。
濃厚なフォアグラの旨みに、一歩も引けをとらない「大つぶし」の味を堪能。 今回はフォンドボウとポートワイン、少量のコニャックを煮詰めたソースを合わせたが、結果として大成功!
洋食(というか)フレンチやイタリアンレストランの一品となりえる一皿になった。
小さいポーションならば前菜として、ボリュームを持たせれば主菜としての可能性も…。
プロのシェフ達の創造意欲を掻き立てる素材なのかも…。新しいチャネル開拓ができるかも…。
ハ. 上記の2つの料理が洋食系だったのに対して、こちらは中国・台湾系…。
さっぱりと塩味(正確には花山椒と塩を合わせた「花椒塩」という中国の塩)でまとめ、 「大つぶし」の香りを引き立てることに…。
戻してから水分を良く切って、すり身にした海老を少量の全卵・片栗粉と刻みネギと合わせたものを、 「大つぶし」の笠の部分に(少量の片栗粉をまぶしてから)塗りつけて多めに油を敷いたフライパンで焼き上げたもの。
バターと醤油の香りとの濃厚なコラボレーションではなく、こちらは火の入った海老の香ばしさと「大つぶし」の香りの合体。
海老の香りと「大つぶし」のハーモニーは絶品。
ニ. 「大つぶし」の戻し汁と、干し椎茸の戻し汁(もちろん身も…)と鶏がらでとったスープと合わせ、 塩・胡椒、少量の五香粉、中国製の生醤油で味を調え、白髪葱と香菜を散らして…。
この戻し汁を捨ててしまっては…。最高の味わいであることは確実!

 

Q3.どんな料理に使ってみたいですか?

以前、スペイン・マドリッドで、(椎茸ではないが)椎茸に似た生のキノコをオリーブオイルで軽くソテーしたものを、 やはりオリーブオイルでソテしたアンギュレス(鰻の稚魚)を併せた料理を食べたことがあるが、 塩とニンニクの香りだけのシンプルな味わいながら、非常に美味く大満足の記憶…。

「大つぶし」を使えば、かなり素晴らしいモノになるはず。但し、アンギュレス、 日本では高すぎて手が出ない…。スペインでも最近急騰しているらしいが…。

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利きだし師の方々

 

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大つぶし

第六回 聴だしの会

 

「大つぶし」を聴きだす(平成15年3月)



あっこ さま から聴く

Q1.どんな料理に使いましたか?

1)豆腐ハンバーグおおつぶしソース
2)豚汁
3)大つぶしと豚バラの炊き込み御飯
4)煮物(ゴボウとおおつぶし)
5)水炊き

Q2.ご感想を聴かせてください

1) あっさりした豆腐ハンバーグに、デミグラスソースにシイタケのスライスと戻し汁を加え、これをかけることにより、 シイタケの香りがついた美味しい豆腐ハンバーグになりました。
2) いたってフツーのメニューなんですが、私の場合、豚肉等油で炒めず野菜からでる汁だけで作る豚汁です。
ここにシイタケの戻し汁もいれ一層栄養満点、香り豊かな豚汁に仕上がりました。
3) フツーのシイタケでも作ったことがありますが、大つぶしでは香り、歯ごたえが、全然違いました。
4) ゴボウとシイタケだけのいたってシンプルなメニューでしたが、シイタケの肉厚さに食べ応え有りでした。
5) 水炊きも、シイタケだけのだしにしてみましたが、なかなかでした。翌日のおじやも最高でした。

Q3.どんな料理に使ってみたいですか?

ピーマンの肉詰めのように、あれだけ立派なシイタケなので、 何かを挟んでフライか天ぷらにしたら美味しいのでは??と思いました。

Q4.その他

大変肉厚で、香りもよく他のシイタケでは物足りないなぁ。。と言う気がしてきました。

店主ごあいさつ

 

利きだし師の方々

 

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大つぶし

第六回 聴だしの会

 

「大つぶし」を聴きだす(平成15年3月)



千代子 さま から聴く

Q1.どんな料理に使いましたか?

  1. うす味で吸物に使える位のお味で炊く
  2. 寿司用(上のせ用)濃い味の椎茸煮
  3. そのまま、オイルでソテー、塩・胡椒・レモンでいただく
  4. 細く切って(3㎜~5㎜)オイルでソテー、塩・胡椒でいただく
    これは中華風炒め物にした場合を想定しています

Q2.ご感想を聴かせてください

1,2,3,4、それぞれにおいしいけれど、特に2の濃い味で寿司用に炊いた場合と 4の細く切ってオイルで炒めた場合がとてもおいしい。

これは両方とも細かく切って使用するため、口に入った時、なんとも言えない 「つるっとした食感」が大いに作用していると思います。
この食感は普通の乾椎茸にはない豊かな食感です。

2の寿司用に濃く炊いた椎茸は濃い味だけど、上品でおいしい味です。

4は、たぶん他の野菜や魚肉と一緒にソテーした時、他の素材を引き立てる 役目もすると思います。他の素材の兄貴分の様な役割でお料理全体をうまくリードしてくれる感じです。

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チリ さま から聴く

Q1.どんな料理に使いましたか?

同封されていた商品パンフレットにおいしい食べ方としてステーキと紹介されていたので、 「ステーキ?ソテーじゃなくて?」と思いつつ、試してみることにしました。

Q2.ご感想を聴かせてください

とにかくビックリしたのがその大きさと肉厚さ。
カサもふっくら締まっていて、パッケージを開けたときの香りがとてもかぐわしい!

「干しシイタケは戻し方如何で味が格段に違う」ということを御社のHPで知ったので、 ゆっくり冷蔵庫での水戻しから。
最低でも12時間とのことで、いったん状態をみたのですがまだ戻りきってないようで、 結局丸2日近く置いてしまいました。

戻しすぎを心配したのですが、まず驚いたのは戻し汁のすっきりさ加減。
その姿形から、もの凄い濃厚な戻し汁を予想していたので、いつも使っているものに比べても、 最初は「モノ足りない‥」と少し拍子抜けした感じだったのですが、 濁りやえぐみは一切なく、干しシイタケ特有の臭みもなし!
とにかく違うんだなと実感。

さっそく、オリーブオイルで焼いてポン酢と塩コショウの2つの味で食べてみました。
焼き縮みもなく、確かにソテーじゃなくてステーキの様相。
そして「コレは本当に干しシイタケ?!」とまたビックリ!
味は生シイタケのようにフレッシュなのに、生を加熱したのとは違って水っぽくならず歯ごたえがしっかり。
とても食べ応えがありました。
個人的には塩コショウよりポン酢が美味しかったです。

Q3.どんな料理に使ってみたいですか?

今回はステーキで完食してしまいましたが、天ぷらがおいしそう!
シイタケの天ぷら大好きなのですが、生は縮んでふにゃっとしてしまいますよね?
コレを使えばとても立派な天ぷらができそうです。
それでシイタケ天丼とか、天そばを食べたいです。
あとはエビしんじょやひき肉を挟んでもいいかも。

戻し汁も格別なので、今までは考えたこともありませんでしたが、おみそ汁のだしにしてみたいです。

 

Q4.その他

ふつう、干しシイタケのだし汁はクセが強いので、煮物などで干しシイタケを使う場合もほかの素材の味を生かすためには、 戻し汁は入れない、または少しだけ足すというレシピが多いのですが、 この大つぶしの場合は戻し汁もそのまま飲んでおいしかった!
残さず使えると思いました。

生は好きだけど干しは嫌いって人、結構いらっしゃると思うのですが、コレはその垣根がないと思います。

店主ごあいさつ

 

利きだし師の方々

 

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大つぶし

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「大つぶし」を聴きだす(平成15年3月)



メシヤの子 さま から聴く

Q1.どんな料理に使いましたか?

バターソテー(戻し汁は、麺つゆに)、含め煮、割れたものは、粉にしてうどんだしにしました。

Q2.ご感想を聴かせてください

バターソテーは、肉厚な食感とジューシーさは、鮮度のいい生椎茸に似たような感じを受けましたが、 味は、生椎茸とは、全く比べ物にならない位、濃厚で、ひとかじりしたあとのビールは、三口まで、椎茸あじでした。

戻し汁は(大つぶし3個で、400ccの戻し汁が取れました)、昆布と鰹でとった出汁と同割りで合わせ、 麺の付け汁にしてみましたが、普段は、かなり濃い目の出汁で作るのですが、いつもと変わりない濃さで、 いつもとは違う得体の知れない旨みが加わって、正体を知らずに味わっていれば、何の味か、悩んでしまったでしょう。

含め煮は、食感的にはバターソテーとは少し違った、クニュッとした感じが加わって、 噛み応えがありました。味は、大変濃厚なのですが、普段食べているモノの様にくどさが無く、 また、バターソテーの様に油分が無い為か、あと味も濃厚な割には、すんなりとした感じを受けました。

麺つゆの時も思ったのですが、甘味と合うような感じがしました。

粉にして、出汁をとってみたのですが、煮出したのが悪いのか、時間が短かったのかわかりませんが、 戻し汁のような濃厚な出汁は取れませんでした。(普段使っているものでしたら、すぐにくどい味が出た出 汁が取れるのですが)少々上品な出汁のような感じのものが取れました。
これは、これでまたおいしいのですが、一味違ったうどん出汁になりました。

 

Q3.どんな料理に使ってみたいですか?

いい昆布を一緒に煮て、極上椎茸昆布をつくって、お茶漬けにしたいです。

Q4.その他

鰹や昆布は、材料の良し悪しで取れる出汁に違いがでるのは分かっていましたが、椎茸から取れる出汁にこんなに違いがあるとは思いませんでした。
本当に、驚かされました。

値段の差は、椎茸その物の差でそれから取れる出汁は、どれでも同じだろうと思っていた私には、 すごく勉強になりました。本当に、ありがとうございました。

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利きだし師の方々

 

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大つぶし

第六回 聴だしの会

 

「大つぶし」を聴きだす(平成15年3月)



家庭料理研究家 奥薗 壽子 さま から聴く

   最初、この大つぶしを見た時はっきりいって、どうしようかと戸惑いました。なんせ大きくてりっぱで。 表面には白くてきれいな亀裂が入り、見るからに肉厚のかさの部分は他の追従を寄せ付けないほどの迫力があります。 普段はバレと呼ばれる、ちょっと砕けたような無選別の香信を買ってきて、 せっせと手で砕いて使っている私としては、なんかいきなり世界の違うハイソな世界に迷い込んでしまったような気分。 そんなわけで、この美しくて高貴なしいたけを触ることさえ恐れ多くて、何日も何日も眺めて過ごしました。さてさてどうしたものか。

   けれど眺めていても仕方ありません。そこで自分なりにこの大つぶしを料理するルールを決めて見ました。 そうすると闇雲に料理するよりもちょっとわくわくしてくるから不思議です。

  1. せっかくの大つぶしなのできったり砕いたりせず、大きいまま使う。


  2. 必ず大つぶしが主役の大つぶしを食べる料理であること
    (干ししいたけってだし代わりになってることが多いから)


   とにかくまずは大つぶしを戻さねば。普段はお湯のなかにいきなりくだいていれてしまうわたしなのですが、今回は丁寧に。 干ししいたけをおいしく戻すコツは、5度前後の温度でゆっくり戻すこと。 なので今回はお弁当箱に大つぶしをぎっしりと入れ、ひたひたの水を入れて、冷蔵庫へ。 軸をおって、折ったところを下にして戻したほうが早く戻ると思ったのですが、 さすがに大つぶしの軸は乾いた状態では折ることができず、とりあえず軸のほうを下にして、戻しました。 そうして待つこと3時間、(本当はもう少しゆっくり戻した方がよかったのかもしれませんが) 水をたっぷり含んだ見事な大つぶしがよみがえりました。

   生しいたけの場合、さっと網焼きや鉄板焼きにして、塩とレモンで食べてもおいしいものですが、干ししいたけは生しいたけよりも香りが強い分、 塩より醤油味が合うように思います。そこでとりあえず、醤油とみりんで煮てみることにしました。

   普通お寿司に入れるしいたけは結構濃い目の味付けで砂糖と醤油を入れて甘辛く煮るものです。けれど今回は最初に決めたルールどおり、 しいたけそのものをおいしく食べられる料理にしたいと思うのです。 だからあまり濃くないように、甘すぎないように。だから砂糖を使わずみりんで煮てみることにしました。

   当初、この甘辛く煮た干ししいたけを具にして握り寿司にしようと思いました。 肉厚の干ししいたけの煮たものは、あわびにも煮た食感で、握りにするとすごくおいしいのです。 けれど今回大つぶしの形を生かして切らないというルールを作ったので、 このままの形で握りにするには、あまりにも大きすぎる・・。

   そこで握りはあきらめて、甘辛く煮たものに衣をつけてフライかてんぷらにしようと思いました。 これもあまり甘くないように煮ておいたものを揚げると、肉にも匹敵するほどのおいしさになるのです。

   けれどここにきて、この甘辛煮をちょっとつまみ食いしてみたところ、 すごくおいしいのです。ふくよかな肉質は、あくまでぷりぷりとして噛み応えがあり、 本当に軟らかく煮たとこぶしのごとく、かめばかむほど口の中でうまみが甘露となって口の中に広がります。 こんなにおいしいしいたけの煮物なのだから、 もうこれ以上ごちゃごちゃ手をくわえないほうがいいのではないか、そんな思いが頭をよぎりました。

   そうして行き着いたのがバター。煮あがった大粒の甘辛煮にバターを乗せて、自然に溶けるのを待ち、溶けた所をぱくり。 う~ん、うまい!!洋風照り焼きハンバーグのような味わいは、お肉よりおいしい!!

   せっかくの大つぶしなので、大きいまま盛り付けて、 フォークとナイフで食べてみるとなんともおしゃれ。ご飯のおかずにはもちろん、お酒の肴にもGOODです。

 

 

奥薗先生のおすすめレシピ

 

大つぶしのバター風味の甘辛煮

  • 大つぶし                                            1袋(7個)
  • 戻し汁プラス水                                    300cc
  • 醤油                                                  大2
  • みりん                                                大2
  • バター                                                お好みで

                      

<作り方>

  1. 大つぶしは軸を下にしてひたひたの水につけ、冷蔵庫に入れてゆっくり戻す。


  2. 軸をとって、再び分量の水(戻し汁を含む)と調味料を入れ、落し蓋をして中火で煮る。


  3.  
  4. 煮汁がほぼなくなるまで煮たら器に盛り、バターを乗せる。


  5. バターが程よく溶けてしいたけにからんだら出来上がり。

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