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鰹節屋の昔話
第四十四 話
二代目店主 中野英二郎が語る、戦前から高度成長前夜にかけての、かつお節の話、魚河岸の話、築地界隈の話、東京の話などなど、四方山話を聴いてください
買い手の名人
大正生まれのK店のKさんと、J店のEさんの二人は何時の頃か私の両隣に位置していました。実は買う人の立つ位置はどういうわけか誰でも毎回殆ど決まっていました。私と三人は槍受けの正面に居る仕来り?になっていました。
この二人は私の覚 えている買い方の中で抜群に上手な人でした。必ず、Kさんは私の左隣に居て、時折は 後ろに手を回して、予想値を教えてくれました。右隣のEさんの方は私の父親が戦前 から懇意な方だったのに、どもっていて、何を話しているのか全く判らない人なので、 教わり様もありませんでした。
Eさんは槍の値付けに戦前の指の押さえ方をするの で、良くトラブルがありました。親指と小指を触れて、普通は5のところが少し右へ廻 すと昔は6の様なりので、どもりながら違うというのを良く聞きました。
尚、買い人に値段を教わる時、その品が必要かどうかを聞くのがマナーになっていまし た。