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鰹節屋の昔話
第三十八 話
二代目店主 中野英二郎が語る、戦前から高度成長前夜にかけての、かつお節の話、魚河岸の話、築地界隈の話、東京の話などなど、四方山話を聴いてください
二番値に打つ
明治生まれ、能弁形のFさんは『ドンドンよくなる法華の太鼓』と云って、 皆が値段を上げて訂正しているかの様に使うのが好きでした。ある時、Fさんの売る順番が廻ってきたのが夜8時過ぎになりました。 売っている莚(ムシロ)の辺りに買い人が少なくなった時、 『今夜は二番の値に打つ』と言って人を集めた事がありました。
当時、始めから終わりまで莚(ムシロ)の脇に立って居る買い人は私を含めて四人か五人でしたので、 もっと買う人を集めるために『買えた人に何となく二番値で買った様に思わせる思惑』もあったのです。
本当に二番値に打つのか証拠が無いので,ウソを言っても判らないのですが、 この時、私も二円違いで二番の人に取られてしまい文句も言えませんでした。
一番値が二番値と値違いがかなりあった時は二番値に打つはずがないのは判るのですが、 そのウソが絶妙のタイミングで誤魔化されてしまうのでした。
近くの買い人に適当な値をいくらいくらですね、 と念を押してその人が違うと隙を与えずに打つて仕舞うという手口です。
注. |
鰹節屋の入札会(東京)では、莚(ムシロ)の上に鰹節の
見本を並べ、買い手と売り手が莚(ムシロ)を囲んで取引をします。 売り手(荷受け問屋)毎に入札が進行していきますので 時として、売り手に順番が回ってくるのが夜遅くなり、 買い手が帰ってしまい、参加者が少なくなることもありました。 |