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鰹節屋の昔話
第三十七 話
二代目店主 中野英二郎が語る、戦前から高度成長前夜にかけての、かつお節の話、魚河岸の話、築地界隈の話、東京の話などなど、四方山話を聴いてください
槍受は下を見るな
『槍受けは下を見るな』、つまり品物を見るなというのが鉄則と言われていました。品物を見ると、どうしても自分で値踏みをして買い手の入れ値が思った値段と違うとどうしても 動揺して顔色に出てしまうものだからです。
そして最高値以外は忘れろとも云われていました。
買い手が値を入れるとき、一桁目は殆ど決まりですが、二桁からはなるべく高い方の指 を触らせる様にする為になるべく指を揃えて手を出します。時に最初の桁が違うよとばかり、 袖を引き込めとしまう事もしばしばでした。
昭和生まれの槍参加者は売りも買いも昭和30年(1955年)頃までは私一人でし た。その頃の方はもう過去の人ですが、次回より、記憶にある方の事を書いてみます。
注. |
昭和46年まで、鰹節の業者間取引の入札は『袖槍(ソデヤリ)』という形態でした。 売り手は半纏(戦前は着物)を着て、その左袖の中に手を隠しています。 買い手は売り手の袖の中に手を突っ込み、予め決められた作法で指を動かし 希望価格を売り手に伝えます。そして、一番高値を提示した買い手が落札者になります。 『槍受け(ヤリウケ)』は、その『袖槍』における売り手(半纏を着て、買い手から袖の中で提示される 価格を受ける人)のことです。 また、『槍(ヤリ)』とは入札の事を指します。 |