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鰹節屋の昔話
第三十六 話
二代目店主 中野英二郎が語る、戦前から高度成長前夜にかけての、かつお節の話、魚河岸の話、築地界隈の話、東京の話などなど、四方山話を聴いてください
色々な駆引き
売り手は一番高値を入れた買い手とその値段を常に覚えていなくてはなりません。 そして順次高値と買い手を覚えて行く訳です。通常は莚(ムシロ)の上に乗って、莚の廻りに居る買い手の前に袖を差し出し乍ら一回り廻ってから打つのですが、 少しでも高い値段を付けさせる為に、色々の駆け引きが始ります。
下手にぐずぐずしていると、入れ値を下げられてしまいます。 たった今高値を入れていた買い手が様子がおかしいと、 少しでも値を下げると次の値段の買い手を探さなければなりません。
一円でも高く売りたい売り手と、どうしたら二番値の人と成るべく値違いが無いように買いたい (買い被らない)買い手の一瞬の商いです。
それで売り手は買い手の、買い手は売り手の性格というかクセを覚えている事が必要です。
値を確認する為に袖を差し向けると、殆ど値を上げる人、逆に下げる人など色々でしたが、 結構冗句を飛ばして笑い乍ら槍を進めてゆきます。
注. |
昭和46年まで、鰹節の業者間取引の入札は『袖槍(ソデヤリ)』という形態でした。 売り手は半纏(戦前は着物)を着て、その左袖の中に手を隠しています。 買い手は売り手の袖の中に手を突っ込み、予め決められた作法で指を動かし 希望価格を売り手に伝えます。そして、一番高値を提示した買い手が落札者になります。 なお、当時の業界では入札の事を『槍(ヤリ)』と呼んでおりました。 また、『打つ』とは、売り手が落札者を発表することを指します。 |