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鰹節屋の昔話
第三十四 話
二代目店主 中野英二郎が語る、戦前から高度成長前夜にかけての、かつお節の話、魚河岸の話、築地界隈の話、東京の話などなど、四方山話を聴いてください
メートル法実施・・・入札
鰹節の仕上節が多かった日本橋の組合の入札は、売り手の袖の中で指を押さえる方法の袖槍です。落札の落札単価は一貫目だったのが一キロの単価になりました。 値幅は一円単位です。組合で作った貫とキロの換算表を持って、値段と目廻り(一枚当りの目方)と両方、 表を見ながら袖に手を入れるのですから、変な作業でした。
私は紙の表と裏に、夫々価格と目廻りを換算した直線グラフを書いて薄いケースに入れて 腰にぶら提げて入札に使った処、皆に笑われました。
この頃の入札では買い手も売り手も勘違いして後でトラブルが、かなりあったのに、 私はグラフのお陰か?一口だけ考えられない値段で落札して儲けさせてもらった経験はありますが、 失敗はありませんでした。
唯、貫の値段が四桁だったので、一円単位の値付けが1キロでの一円と一貫目での一円では3.75倍違うとことになるのですが、 どうしたわけか三桁で一円単位の値付けだと、5円から10円の単位になってしまい、 始め入札で買うときは考えたのですか,売るときは四桁の時に10円単位で売っていましたから、 却って得だと思う様になりました。笑い話です。