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鰹節屋の昔話
第三十 話
二代目店主 中野英二郎が語る、戦前から高度成長前夜にかけての、かつお節の話、魚河岸の話、築地界隈の話、東京の話などなど、四方山話を聴いてください
鰹節の卸売
戦前から都内にも鰹節を主体として海苔、お茶を専門に売る小売店もかなりありましたが、 乾物屋も、結構、鰹節を売っていたものです。婚礼の引き出物には欠かせないばかりでなく、その他のお祝い事、お歳暮、お中元、病気見舞いなど、 用途さまざまで結構な需要がありました。
その小売屋さんへの卸は大変でした。
年配のお客さまは此方より、商品知識があり、若い私を可愛がってくれたお客もありましたが、 相場が動いている時など先行き予想など下手に話そうものなら、やり込められたりしました。
そんなお客は勘定を取るのが、これまた大変,で色々な事があり勉強させられました。
都内といっても旧市内(区の区域)のお客は脇座(わきざ)と呼んでいました。
売行きの状態でも脇座廻りはどうか,地方は売れているとか云う会話です。
今、誰もこんな言葉は使いません。
小売屋さんがなくなったのと、鰹節の仕上節が売れなくなったからです。