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鰹節屋の昔話
第二十九 話
二代目店主 中野英二郎が語る、戦前から高度成長前夜にかけての、かつお節の話、魚河岸の話、築地界隈の話、東京の話などなど、四方山話を聴いてください
鰹節の進物 その2
進物を作るときに一番手間が掛かるのは、一つずつ目方を計ることです。進物は上代の値段(例えば5000円売り)に合わせて作るものですから、 一個の値段が決められています。それで内容の量は同じ必要があります。
一応、内容量、総量、入数、又は一枚当りの目方は、鰹節を入れてある函の表に書いてあるのですが、 これが間違っていたり、不揃い(トンツと言います)だったりすると亀3枚ならば楽なのですが、 2枚入りのそれも大きい亀節、又2本入りの本節の時はとても苦労しました。
進物の注文主は中身を知る由もないのですが、決められた目方より少なく入れるわけに行きません。 仕方なく少し多く入れてしまう事もありますが、不揃いの節が余って、本来1ケースで足りるものが 2ケース使ってしまう事もしばしばでした。
目方を量るのに電子秤の様に感度の良くない棹秤でしたから助かったのだと思ひます。