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鰹節屋の昔話
第二十八 話
二代目店主 中野英二郎が語る、戦前から高度成長前夜にかけての、かつお節の話、魚河岸の話、築地界隈の話、東京の話などなど、四方山話を聴いてください
鰹節の進物 その1
伏高も店を改築してから、削節もともかく、鰹節が売れ始めたので、此方も力を入れる様になりまた。特に婚礼引出物の注文が多くなり,忙しい時は一日1000箱は作りました。
化粧函にパッキンを入れ、亀節なら二枚か三枚、本節は背と腹を組んで一組ずつ目方を量り、並べて入れ、 (婚礼だからと,亀節は腹側を向い合わせる地方もありました)掛紙を掛け、水引で結ぶ、単純な作業ですが、 婚礼用の水引は10本が一本になっているのを二本合わせて結ぶので、 綺麗に揃えるのにはかなり慣れを必要とします。
午前中は店売りで忙しく、お昼前頃から始めるので,夜にならないと終わらない日が続く事もありました。
戦前は鰹節の表面の上の部分を一本一本パフなどで磨いていました。
戦後もモーター付きのパフで磨いていたのですが、枚数が多くなり追いつかず、とうとギブアップ。
精々カビをこすり付けるだけになってしまいました。