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超低塩、フルーティーの形容詞が

ふさわしい梅干をお届けします

 

 

鴨川の小林さんは、ご自分で育てた無農薬、無化学肥料の梅から、低塩の梅干を漬けています

「 私、小林と申しまして     

  千葉の鴨川で、無農薬の梅を作っています

  突然で申し訳ないのですが、一度、私が漬けた

  梅干の味をみていただきたいのですが・・・ 」

 

去年(2013年)の9月の終わり、こんな電話がかかってきました。


いわゆる「売り込み」であります。

広告代理店や求人誌の営業電話は、適当に断ってしまうことが多いのですが
食材の売り込みだったら大歓迎。

きちんと話は聞きます。

どうやらプロの農家さんではなく、趣味の延長線上的な感覚で
無農薬、無化学肥料の梅栽培に挑戦して、
やっとご自分で納得できる梅干を作れるようになったらしい。

話を聞いただけでも、ちょいと旨そうなので
食べてみたい衝動にかられたのですが

気軽に

「 それじゃー送ってください 」

なんて言えるわけありません。

なぜかと言えば、弊店は3年前(2011年)から、
紀州産の梅干を販売しているから。

 

鰹節、昆布、煮干などは本職ですから、色々な種類を扱っていますが
その他商品については 一ジャンル、一製造家と決めています。

例えば、紀州の梅干。

こちらは、私自身が大変気に入っていて
十年以上食べ続けている梅干なんですよ。

ツテをたどって、その製造家さんに連絡を取り
こちらから取引をお願いして現在に至っています。

だから、たとえ鴨川の梅干が
すごーく旨くても、簡単に取引先を
代えるつもりはありません。

また、定番商品として梅干を2種類扱うことも
難しい状況です。

 

そんな事情を説明しながら

「 正直な話、取引をさせていただく可能性は かなり低いと思いますが
  そのあたりをご承知いただけるのであれば、試食をさせていただきます 」

と、申し出たところ

「 もとより簡単にお取引いただけるなんて思っていません
  梅干の出来を評価していただけるだけでもありがたいので
  近々、梅干を持って伺います 」

との答えが返ってきた。

 

てな訳で、2013年10月7日(月曜日)、
千葉県は鴨川より、梅干を携えて、弊社事務所を訪ねてこられた。

話を聞くと、元はプロカメラマンだったらしい。

平成2年頃、思うところあって、鴨川に居を移し、
カメラマンの仕事を減らし、第二の人生を模索することにした。

いつの頃からか、梅の栽培を志したそうな。

専門家の方々に相談しながら、試行錯誤を繰り返し、
無農薬、無化学肥料での梅栽培に成功し、
2007年から、低塩の梅干を作っている。

 

さて、梅干の試食。

一番大きい梅干を口に入れると
酸っぱいと言うより甘酸っぱい、梅の香りと味がする。

そして、まったく塩っ辛くないのです。

塩分濃度を聞くと、12%(梅との重量比)なんだそうな。

弊店で扱っている梅干の塩分濃度は20%

だから、鴨川の梅干の方が塩っ辛くなく、
かつ、より梅の味を感じるのも、当然のことなんでしょうね。

商業ベースで梅干を漬けると、どうしても 大きい容器を使うので、
塩分濃度20%は必要なんだけど

鴨川の梅干は、趣味の延長線上みたいなもんだから
小さな容器で漬けているので12%の塩分濃度で漬けても、
梅がカビないのだそうだ。

ちなみに、市販の低塩梅干の多くは、塩分濃度20%で作った梅干を、
水に漬けて塩抜きして作るので、まったくの別物であります。

 

「 この鴨川の梅干、ぜひ弊店のお客様に味わっていただきたい 」

とは、思ったのですが・・・

先ほど申し上げたように、話は簡単ではありません。

鴨川の梅干製造家、歳の頃なら70歳代ではないでしょうか?
だから、この先あと何年、梅干を作れることやら?

そして、製造数量はかなり少ないので
通年での販売は、ハッキリ言って無理でしょう。

つまるところ、

紀州の製造家さんに不義理をする

なんて選択肢は、ハッキリ言ってあり得ない。

ということで、その日は

「 時間をかけて検討させていただきます 」

と、お役人的答弁をして、 鴨川にお帰りいただいた次第です。

 

それにしても、鴨川の梅干は旨かった。

紀州の製造家さんに不義理をすることなく
鴨川の梅干を扱う方法はないだろうか???

散々、考えたあげく

「 鴨川の梅干の旨さを正直に話して、
  小林さんの梅干を売ることを、紀州の製造家さんご了承いただく 」

コレしか方法はない、と思うに至った次第。

 

今年(2014年)5月、和歌山県串本町に
ヒジキの刈り取りを見学しに行った帰り
田辺市にある梅干製造家さんを訪ね、

鴨川の梅干と出会った事、そして、
その梅干が、驚くほど旨かった事を話し

「 数量限定、期間限定で取り扱うので、

  どうか鴨川の梅干を販売することを了承してください 」

と、とお願いしたところ、快諾をしていただけたのであります。

 

正面は小林さんのご自宅兼作業場、手前は梅林です

本来であれば、8月に鴨川に行き、梅干の土用干しを見学したかったのですが、
日程が合わず、鴨川を訪れたのは9月になってしまいました。

それでも小林さんのご自宅兼作業場、そして自宅に隣接している梅林を見学。

きちんと製造していることを確認し、
数量限定(360パック)で「小林さんの梅干」の販売を始めました。

 

弊店で販売している「梅と塩だけの梅干」を初めて食べた時も、
「フルーティで旨い」と思ったのですが、

小林さんの梅干のフルーティーさは段違い、別格です。

 

小林さんの梅干

無農薬、無化学肥料、低塩で、手間ひまをかけて仕上げた梅干ですから、決して安くありませんが、
ぜひ一度、味わってください。

梅干の概念が変わりますから。

 

  中野 克彦
築地仲卸  伏高
 三代目店主 

海のだしお試しセット

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