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淡 口 醤 油 は 甘 い
淡口醤油(上)は濃口醤油(下)に比べ、色を薄く仕上げるために、塩分濃度が、どうしても高くなるのですが・・・ |
「来年の新商品は淡口醤油にする」と
決めたのは去年(2013年)の10月。
でも、どんな醤油を売るべきかなんて、
具体的なイメージは全くなかった。
そこで、ネット検索して旨そうに見えた
8種類くらいを買って味比べ。
どれも淡口醤油ですから、濃口に比べると
塩分濃度は1割程度高い。
(色を付けないために塩分濃度が高くなる)
だから、そのまま舐めると塩っ辛いのですが、
不思議なことに、煮物などの味付けに使うと、
料理がほんのり甘くなるではありませんか。
そして、その甘さが、すごーく心地良い。
この瞬間、
『淡口醤油は塩辛いだけ』との先入観(いや偏見)
が見事に打ち砕かれたのであります。
兵庫県南西部の城下町、龍野では、その中心を流れる揖保川の伏流水がもたらす鉄分が少ない「軟水」を利用して、17世紀より、淡口醤油が製造されていました。鉄分が多い水を使うほど、醤油に色がつかないのです。 |
原材料名を見ると、大豆、小麦、塩以外に、
米、アミノ酸などの表示もある。
アミノ酸はともかく、この「米」に甘さの秘密がある
に違いないと思って、調べると・・・
淡口醤油は17世紀後半に、
兵庫県は龍野で誕生したことを知りました。
醤油のもろみに甘酒を加えることで、
醤油の色が薄いまま、同時に旨味もある
淡口醤油が完成したとのこと。
この段階で、真っ当な淡口醤油のイメージが出来上がった。
具体的には
(1)原材料は、丸大豆、小麦、塩、そして米だけ
(2)温度調整は一切せず、自然に任せて作る天然醸造
(3)心地良い甘さが感じられる
この3点であります。
濃口醤油の仕入先に、この条件を満たす醤油を
探していただいたのですが、結果は思わしくない。
そこで
「淡口醤油発祥の地、龍野の製造家に直接当たってみよう」
と思ったものの、飛び込みで製造家を訪ねても、
簡単に取引なんてしてくれる訳がない。
そこで、あちこちコネを探したのですが・・・
正直、途方に暮れてしまったのであります。
でも、人間、諦めちゃいけません。
求めよさらば与えられん
なんーて聖書に書いてあるようですが・・・
今年(2014年)2月
一縷の望みを掛け出かけたビックサイトの展示会で、
兵庫県は龍野の商工会のブースを発見。
藁にもすがる思いで、
「 すいません、米を使った淡口醤油を作っている醤油屋さんで、
OEM供給してくれそうな会社を紹介してください 」
とお願いしたら、
「 小さいメーカーさんなら紹介できますよ 」との答え。
「やったー!!!」であります。
そして、早速、紹介していただいた製造家さんに電話。
5月には龍野を訪問し、今月より淡口醤油の販売開始となりました。
蒸した大豆に炒った小麦を混ぜ、種麹を加え、麹室で麹を作ります |
龍野では、例によって製造家さんをアレコレ質問攻めにしてしまった。
龍野の地下水は超軟水なので、元来、他の産地に比べ、
醤油の色は薄く仕上がったらしい。
そこで、その薄い色の醤油を極めようと
先人が工夫を重ねた訳です。
醤油は大豆の旨味を時間をかけて引き出しながら
作るのですが、時間をかければかけるほど、
醤油の色が濃くなる。
麹に食塩水を加え「諸味(もろみ)」を造り、寝かせると、酵母や乳酸菌などの働きで、発酵・熟成され醤油特有の色、味、香りが生まれます。 |
天然醸造では、濃口醤油を1年半から2年間
熟成させるのですが、そこまで熟成させると、
旨味は充分引き出されるが、色が濃くなる。
だから淡口の熟成期間は長くて半年。
そこで僅か半年で旨味を引き出す技法の試行錯誤が
始まったようですが・・・
17世紀後半、甘酒を加えることで、色を保ったまま、
旨味が引き出された淡口醤油が完成したのであります。
さて今回、弊店がお届けする淡口醤油は、
大豆、小麦、塩を原料に製造した天然醸造の淡口醤油に、
甘酒ではなく米麹(甘酒の原料)を加え、
再度、熟成させた二段仕込みの淡口醤油。
厳密に言えば、昔ながらの方法とは違う部分はありますが、
自然任せの天然醸造。
そして米麹を利用する製法は本質的に同じなので、
真っ当な淡口醤油だと確信しています。
米麹が醸し出す心地良い甘さを、ぜひ一度、ご体感ください。
築地仲卸 | 伏高 | 三代目店主 |
追伸: |
私がお気に入りの淡口醤油の使う料理はスパゲティー。 フライパンで具材を炒め、軽く塩で味付けしたところに ぜひ一度お試しあれ。 |