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山が昆布を育てます
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今年(2000年)の夏、函館の昆布問屋さんを訪ねたときに大旦那さんから教えてもらいました。 最近よく耳にする生態系の話の一つです。また、上の絵はその大旦那が書いてくれた 浜の様子です。向かって右が真昆布の採取(浜の近くに生育しています)、左が養殖昆布の様子 (500m~1000mの沖合で行われています)です。
昆布は葉から栄養を吸収して成長します。
一般的な陸上植物は根を地中に張り、土から栄養を吸収しますが、昆布の根は海中の岩盤に 強固に付着するだけで栄養は吸収しません。昆布はその長い葉全体で海中の栄養分(リン、窒素など)を吸収し ています。
話は少しそれますが、「根昆布」は昆布の根ではありません。
根昆布は「頭(かしら)昆布」とも呼ばれ、昆布の葉の一番下の部分を指します。ちなみに葉の下は茎で、茎の下は本当の根です。 葉の一番下の部分(いわゆる根昆布)に昆布の「成長点」があります。海中を泳いでいる葉の先端部分は一番先に出来た部分で、その葉先が吸収した 養分が成長点に集められて昆布は成長するのです。昆布には等級があります。葉の下の部分の昆布の方が等級が高くなり やすいのですが、この栄養の集め方と成長点を考えると頷けます。
話を元に戻して、海中の栄養はどこから来るのでしょうか?
真昆布の産地、道南の噴火湾は回りを山に囲まれています。山には落葉樹が生えているので、秋口から紅葉が始まり、冬には葉が落ち、 落ちた葉は腐葉土になります。この腐葉土が海中に運ばれ養分となり、真昆布を育てるのだそうです。 昨年の道南の昆布は、台風に見舞われた影響で、大凶作となりました。しかしながら、 台風が運んだ腐葉土がしっかりと海中の昆布を育てて、一転、今年の昆布は豊作です。
落葉樹を伐採した江差では昆布が育たなくなったそうです。
その昔、まだニシン漁で江差が賑わっていた頃、燃料用に近辺の山々から落葉樹が大量に伐採されたそうです。 落葉樹に替わって植えられたのが常緑樹だったので、落葉により作られる腐葉土が極端に少なくなりました。 結果として、海中の栄養分が少なくなり、昆布が育たなくなったそうです。
あらためて地図を見ると、昆布の産地には必ず近くに山があります。
道南はもとより、利尻島には利尻山、礼文島には礼文岳、羅臼には羅臼岳、そして日高には日高山脈があります。 海と山に囲まれた日本だから良質の昆布がとれるのだと思います。
パート2に続く
しっかりと山に育てられた昆布のお買い物
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