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今年の干貝柱はちょいと違う
「 ごめん、貝柱の出来上がりが遅いんだ
なんだか今年の貝は育ちが良すぎて
いつもよりグリコーゲンが、ずっと多いんだって
だから貝の中まで乾燥させるのに
普段より、そーねー、2~3割は時間がかかっているんじゃないかな
それに、グリコーゲンのせいで、表面がやけにテカテカなんだよね
貝柱をやって何十年になるけど、こんなの初めてだ
とにかく来週、枝幸に行って現場を見てくるから
状況が分かり次第、連絡します 」
9月(2013年)の初め、そろそろ新物が入荷しても良い頃と思い
弊店が干貝柱の目利きをおねがいしている
築地市場の荷受け問屋「東市(トウイチ)」の 超ベテラン「セリ人」である
佐藤さんに電話をすると こんな答えが返ってきました。
なお「セリ人って何者?」と思ってらっしゃるならこちらをご覧ください。
ニュースで見た方もいらっしゃるとは思いますが
今年の北海道のホタテ貝、例年になく成長しています。
どうやら、海上を浮遊している海藻が
日本海からオホーツクまで大量にやってきて
それを食べたホタテ貝が栄養過多になり
育ちが良すぎて、グリコーゲンが増えたらしい。
グリコーゲンとはブドウ糖の塊みたいなモノだから
言ってみれば、旨み成分。
悪い話じゃないの思ったら
世の中、そんなに簡単じゃないのだそうだ。
確かに旨み成分が多いのでしょうが
きちんと乾燥するまで手間も時間がかかるので、出荷は遅れるし
ダシをとると白濁することもあるらしい。
9月24日、佐藤さんから電話がかかってきた。
「 枝幸で見てきたけど、だいぶモノが良くなってきたから
来週には出せると思うよ 」
話によると、ホタテに含まれているグリコーゲンの量が
やっと少なくなって、表面のテカテカも前ほどじゃないようです。
そして27日、待望の干貝柱のSサイズが入荷したのであります。
私、写真を撮るのが下手なので、よく分からないかもしれませんが、確かに貝柱の表面は、いつものモノより
ちょいとテカっています。
早速、一個、手に取ると・・・いつものモノより、ちょいとベタついている感がある。
テカテカとベトつき、それがグリコーゲンの影響なんでしょうね。
さて、例によって試食であります。
まるごと一つ干貝柱を口に入れてモグモグ食べると
いつもの通りの旨みが口中に広がった。
思わず続けて3つ食べてしまったのですから
やっぱり干貝柱は食べ始めたら止まりません。
でも、高価な食材ですから、3つで我慢。
佐藤さんから
「 グリコーゲンが多いせいで、ダシが濁るかもしれない 」
と言われてみたので、実際にダシを取ってみました
水に漬けて、一晩、冷蔵庫。
これまた、写真が下手なのでわかりにくいと思いますが
ダシ汁、多少は濁っておりますが、まあ、それほどでは
ありません。
そんなことより、ダシ汁を口に含んだら
強烈なコハク酸の味がして驚きました。
やっぱり、旨いですね。
と言うことで
今年の干貝柱は、表面がちょいとテカって、触るとちょいとベトつくので
いつもと違うと感じられるかもしれませんが
そのまま食べても、ダシをとっても、十分に旨い干貝柱でした
と報告申し上げます。