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・製造方法
・種類と特長
・酸化と添加物
製造方法
煮干 はその名前が示すように、鰯を煮て干せば出来上がります。
・洗浄
・煮熟水揚げされた鰯は、その鮮度を保つために、砕氷とともに煮干加工場まで運ばれます。 運ばれてきた鰯は、先ず、真水で洗浄されます。この段階では鰯の70%程度は水分です。
・乾燥洗浄された鰯を90℃から95℃に熱せられた約3%の塩水で煮ます。煮ることにより、鰯がもっている酵素の働きをとめて腐敗を防ぎ、タンパク質を凝固させます。
煮熟された鰯は乾燥され、水分が15%から18%になれば出来上がりです。昔は天日で 乾燥させていたのですが、現在では温風乾燥機や冷風乾燥機も使用されています。昔ながらの 天日乾燥が煮干にとって必ずしも最も良い方法ではありません。4月から9月の直射日光は 紫外線が強すぎるので、煮干に悪影響を及ぼします。秋の彼岸から春の彼岸までの日差しは煮干 にとってちょうど良いとされています。また、冷風乾燥の方が温風乾燥より煮干の酸化の程度が 低く仕上がります。
種類と特長
煮干は原料となる鰯の種類により、それぞれ特長のある煮干になります。
・片口煮干(かたくちにぼし)
・平子煮干(ひらごにぼし)片口鰯を原料にした煮干です。一番生産量が多い一般的なタイプです。背の部分が白く仕上がる煮干は白口煮干(しろくちにぼし)、 背の部分が青く仕上がる煮干は青口煮干(あおくちにぼし)と呼ばれています。瀬戸内海沿岸、長崎、伊勢などの内海でとれる 片口鰯は白口に仕上がります。千葉、茨城の太平洋沿岸や山口、京都の日本海沿岸でとれる片口鰯は青色に仕上がります。 白口煮干は青口煮干に比べ、甘みがあるだしがでます。11月に九十九里でとれる煮干は、外海産の煮干では例外的に、 白口煮干に仕上がります。
・うるめ煮干真鰯を原料にした煮干です。近年、真鰯が不漁ですので平子煮干の生産量も減っています。片口鰯の煮干に比べ、 だしはあっさりしていてます。
・かえり煮干うるめ鰯を原料にした煮干です。生産量が最も少ない煮干で、長崎が主産地です。うるめ煮干からはくせのない独特の 甘さをもっただしがでます。
片口鰯の稚魚を原料にした煮干です。稚魚の煮干なので、脂肪が少なく、魚臭くないあっさりとした上品な だしがとれます。価格的には最も高い煮干です。代表的な産地である瀬戸内のかえり煮干は、内海の特性から 充分に乾燥されても柔らかく仕上がりますので、食べる煮干として人気があります。讃岐うどんのだしには 欠かせません。
酸化と添加物
煮干の原料となる鰯にはEPAやDHAが沢山含まれていますが、それらの物質は高度不飽和脂肪酸と呼ばれる 酸化しやすい物質です。煮干の酸化が進行するとEPAやDHAの機能は失われ、生臭みが出てくる等、風味も損なわれてしまいます。・酸化と油焼け
・添加物煮干は鰯を煮て乾燥させるだけで製造されるので、製造工程の乾燥中に酸化が相当進みます(鰹節は 煮て燻しをかけながら乾燥させるので、鰹節の表面にタール分が付着し酸化を防ぎます)。温風乾燥機を使用すると 酸化は促進します。冷風乾燥機を使用すれば酸化が緩慢なのですが、乾燥時間とコストがかかります。 酸化が相当進行すると油焼けと呼ばれている現象が見られます。具体的には煮干の表面が黄ばみだし赤くなっていきます。この状態になって、酸化の 度合いが目に見えてきます。低温で保管されていると、煮干の酸化とそれに伴う油焼けの進行は緩慢になりますので、 ご家庭では煮干を冷凍庫に保管されることをお勧めします。
煮干にとって大敵の酸化を防ぐため、多くの煮干に酸化防止剤が添加されています。BHAとビタミンEが酸化防止剤として使用されています。