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築地の風景
by 築地本店店長、黒川春男
2011 年9 月22 日
金の価格がすごい事になっている。かなり前、メイプル金貨・ウィーン金貨・カンガルー金貨の三枚を買った、あの銀座田中金属店の前に、開店前、百人を超える行列が出来たとの記事。休暇中の鳥取で朝刊を見て驚く。検索。なになに、一オンス(約30g)金貨が一枚、十六万円になったって!! 未使用の金貨はプレミアが付く。あの金貨、どうしたっけ・・・。そうだ3.11の後、防災リュックに入れてたっけ、いや、その後、台所の乾物を入れた引き出しに盗難よけに入れたっけと、錯綜する頭。
「コーヒー飲む」との妹の声で正気に戻る。東京に帰宅後、なにくわぬ顔で金貨のありかを確認した。タイ旅行で買った23金のネックレスも無事、ずしり重い。笑いを押し殺す。タイでの放蕩の日々を精算して、今の静かすぎる生活に到達して数十年。放蕩の名残が、この23金のネックレス。よくぞ残ったものだ。
タイ人にとって、金は銀行以上に信用できる動産。誕生日、記念日等々に、かこつけて現金は金の装飾品に化ける。タイの街角、目抜き通りに、コンビニ並に点在する金行。デパートにもショッピングセンターの中にも浸食している。金行とは、金製品のみを売る小売店。そのほとんどは、華僑タイ人の経営。色白で平均的タイ人の二倍も豊満な売り娘達が居並ぶ。ショーケースから壁、天井まで、真っ赤に塗られ、おびただしい金製品が埋めつくす。まさに、アナザーワールド。
タイの金の装飾品は23金が多く、他の宝石や金属とかのからみのない、ずばり金そのもの。デザイン性より、金含有量が重要。金製品は、金行で僅かの手数料で換金できるキャッシュカードの様な物であると、誰かから聞いた。タイで暮らす日本人年金生活者、この円高で、かなり余裕が生まれたとか。
一方の黒ネコは、円高メリットもデメリットも、全く実感のない鳥取で夏休み。淡路島のウェスティンホテル淡路で一泊。安藤忠雄設計のホテルだからと強引に勧められたのだが、内心は田舎の古民家旅館の方が、よっぽど風情があると思った。
帰鳥して即、松江へ。超格安スーパーホテルで一泊。朝食は、むふふだが、全員の宿泊代はウェスティンの一名分で済む。松江の旅行は、島根県立美術館で開催中の芹沢銈介の企画展を見る為。沖縄紅型を発展させた独特の型絵染は暖簾で有名。芹沢の民芸運動の同志、河井寅次郎は島根出身。皆さん、鳥取、島根は民芸の意外な穴場ですぞ!!
最後に向かったのが、松江歴史館。松江城の内堀にかかる北惣門橋の外の家老屋敷跡に木の香りのただよう豪壮武家屋敷。3月19日open。3.11の一週間後、ひっそりと祝ったらしい。所詮、行政が建てた箱物。はりぼての中身は薄い。まあ、こんなもんかと長屋門を出て外へ。妹が、ぼそっと、「この建物、原発交付金39億円で建てたらしいぜ」。札束に身を売った心根が浅ましく、悲しい。只(タダ)より高いものはないと、福島は教えているのに!!