鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2011 19

一ヶ月ほど前、朝四時半の出勤途中、かちどき橋を渡ってすぐのお魚センター前に人だかり。集まっている外人を取材するテレビクルー。何のことはない、マグロ卸売場の見学が再開されたのだ。その日以降、外国人観光客がめちゃ増えた。食堂街にも長い行列ができたとか。いまいち元気のないプロのお客様を尻目に、元気印の観光団が闊歩している。

 

先月、市場の休日を利用して鳥取へ。母親の七回忌の法事でした。遠距離をいい事に、ずっと法事に参列してなかったのですが、黒ネコの休みに合わせるから、と言われれば断れず、飛行機でとんぼ返りです。鳥取-羽田便が日に三便だけの鳥取空港。全日空も強気の料金設定。高けえー!!

 

翌日、家族八名が菩提寺の大蓮寺へ。冷房のガンガン効いた本堂で住職を待ちます。中央祭壇に灯が入り両脇のステンドグラス風の柱に蓮の花が浮かび上がると、住職が登場。つかつかとおやじに近づくと、「実はですね、昨晩、電話をかけたんですが、お留守だったので」。実は昨晩は、家族一同、近くの和食店で盛り上がり、その勢いついでにカラオケでまたまた盛り上がっていた。住職が、「あのですねぇ、よく調べましたら奥さんの七回忌は来年なんですが」。おやじ、絶句したきり無言のまま。「祥月命日の法要は毎年やられても良い訳ですし、来年の七回忌を今年にやられても、もちろん、何の問題もない訳ですから」。煙に巻かれたごとく一同は頷くしかない。

 

四、五十分読経が続く中、早とちりな、おやじの横顔を見て、おかしくなったり、祭壇脇に立て掛けられた卒塔婆の戒名の七回忌法要の七の字が気になったり、有り難いお経もうわの空。亡き母を偲ぶどころではなかった。焼香を済ませ、卒塔婆を持って墓参り。母の墓の後に卒塔婆を差し込み、花と菓子を供え、蝋燭、線香に火を付け、水もたっぷりかけて合掌。妹が、「あの坊さん、東高校の国語の先生だったの覚えてる?」。おやじより年配のお坊さん、さっぱり思い出せない。

 

この墓所は、六百五十年前にあった田内城跡にある。いつの間にか、山頂には模擬天守が建てられたとの案内板。見てがっかりしそうでパス。

 

東京に戻り、早速ベランダの水遣り。ベランダの網に這うゴーヤ。ゴーヤの小さな黄色い花がはあちらこちらに咲いている。まあ、実はつけないだろうけど。この前買ってきた、園芸用の活力液肥がよく効いて緑の色が濃くなった。緑が日射しを遮り、心地良い風が渡ってくる。我が家が一番。ホッとする。焼酎の水割りで鳥取土産のあごちくわをつまむ。旨い物が判るのか、猫達も集まってきて鼻でスリスリ。一緒に輪になって、宴会となりました。

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