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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2004 20

熱帯夜が続き、冷房もうんざり、体調もなんかすっきりしない毎日ですが、あなたはいかがお過ごし ですか?

築地も夏商戦といきたいところですが、うなぎ登りの温度と強い日差しに、買い物客ももう一つ といったところです。

とくに年配の方達は、帽子を頭に、片手に日傘、片手にハンカチを持ち、リュックは出来るだけ コンパクトなものでいらっしゃいます。そして午前中の比較的すずしい時刻に買い物を済ませ さっさと帰宅されます。御苦労さまと声を掛けています。

その暑い日差しの中を、連日、交通警察官が取り締まりに精を出しています。あるテレビ番組で 市場(場外)周辺で我が物顔で突っ走るターレや路上を占拠して物品を販売する店舗を取材した ところ、その中で、「ここは治外法権だからいいんだ」とかの発言があり、そのことで警察に 苦情の電話が届き、今回の取り締まりになったようです。

目に余る無法者にはきついお灸もいいのでしょうが事は深刻になり、半世紀以上続いてきた 場外全店の営業形態まで取り締まるという事態にまで発展しそうな風向きです。

ここは天下の築地だから何をしてもいいとは思いませんし、そこにあぐらをかいて 反省しないのも駄目だと思います。

確かに各店舗は少ない坪数の中に色々な商品を陳列したいですから歩道へと伸びます。 当然、道幅はちぢまり大人二人並んであるくのもままならない所もあります。

とは言っても、常連客は慣れたものでさっと通り抜け、観光客は狭いと苦情を言うより、 そんな雑然とした街並みを楽しんでいる人が多いと思います。

しかし一方に問題視する人がいるのですから、とにかく大人の分別で絡まった糸をほぐすしかないと 思います。これも築地が新市場に移転が決まったときから、築地が天下の築地でなくなり、 時代のうねりに飲み込まれていく姿かも知れません。

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