鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2010 12 17

先週の日曜日は朝から絶好の散歩日和。以前から行きたかった明治神宮の杜へ。その前に大江戸線、青山一丁目で下車して、神宮外苑の銀杏並木へ向かう。遠く絵画館を真正面に両脇二列、合わせて四列の銀杏の大木の並木が延びる。黄色く色付くのは陽光を浴びる道路側の一部で、全体はまだ緑のまま。それでも大勢の人がカメラを向けている。並木の先の広場でいちょう祭りの屋台。鉄板で焼く醤油、ソースの香りが漂ってくるが、朝食したばかりなのでパス。

 

外苑を後にして原宿駅に向かう。すぐの公園でフリーマーケット。若い人達でごった返す。公園を離れると、閑散とした街が続く。空きビル、空き室が目立つ。「ここ、あの有名なアパレル会社だったのに、あそこも」とうちのやつ。時代の流れを痛感している。原宿駅に近づくにつれて人混みが増す。おこちゃまと外人だらけ。

 

駅前を駆け上がり明治神宮内苑入口へ。一の鳥居を仰ぎ見て、正参道へ踏み込む。幅広い参道を、うずたかい樫や椎や楠の木が包み込む様に遠く続く。緩やかに下る参道は玉砂利が敷かれ、ジャリジャリという音が心地良い。人混みがなければ更に霊気を味わえたのだが。参拝者が多い。七五三の晴着を着た子供を外国人がカメラでねらう。突き当たると参道は直角に左折。大鳥居が現れる。更に進むと、左手に長い列。

 

その先に神宮御苑入口の看板。その脇に「清正井」只今の待ち時間、一時間の張り紙。噂に聞いていた「清正井(きよまさのいど)」だ。今や東京一のパワースポットだと。御苑の南池の水源であるこの井戸を携帯電話の待ち受け画面にすると運気が上がるとか。カメラ付き携帯も持たず、待ち受けの意味もよく判らず、メールも打てない黒ネコには無縁ですからここはパス。先に進む。

 

しばらくして、参道は右に折れ、その先に、ぽっかりと開けた空間。薄緑色の屋根の拝殿とその奥の本殿が見えたとたん、玉砂利から石畳に変わる。拝殿前の広場は廻廊に囲まれ、その廻廊を全国各地から奉納された特産品が各県ごとにびっしりと並べられている。11月末の新嘗祭へ捧げられた山の幸、海の幸。全国特産物見本市の観有り。中でも、野菜で組み立てられた、どでかい「宝舟」に驚かされる。五、六体ほど有る。都内のJAからの奉納。

 

参拝を終え、引き返す。それにしても、都会のど真ん中にこんな深い癒しの森が有るとは。先刻より延びた「清正井」の長い列を横目に、ブームが去った頃、こっそり来ようかなと未練を残し、再び人の波が続く表参道へ。色付いた楡並木の坂を上り、銀座線で銀座へ出る。久し振りに、銀座ライオンで乾杯し、心地良く帰宅した。 

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