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築地の風景
by 築地本店店長、黒川春男
2009 年8 月21 日
中央区観光協会が設立五十周年を記念して種々の記念事業を始めました。その一つが、7月25日から11月1日までの期間限定で『お江戸旬カレー』というイベントです。
全国津々浦々、ご当地カレー全盛の昨今、中央区の誇る築地のご当地カレーがあってもよかでしょうと考えたのが、スリランカ風築地カレー。約30種のスパイスからなるカレー粉と築地市場の旬の素材を使ったカレーに、鰹節をトッピングするというもの。
なぜに鰹節かというと、スリランカカレーがモルジブフィッシュと呼ばれる、鰹節に近い素材を使うことからヒントを得たそうです。
モルジブフィッシュと聞いて思い出しました。『美味しんぼ 24巻 カレー勝負』を。山岡の究極カレーと海原雄山の至高のメニューとの対決に、山岡が使った味の決め手がこのモルジブフィッシュだったのです。
モルジブと言えば、神田うのが六度目の結婚式を挙げた『コンラッド・モルジブ・ランガリ・アイランド』を始めとする超高級ホテルが乱立するリゾート地ですが、観光立国する前は、なにせ珊瑚礁で出来た千二百の島ですから、ココナッツ、バナナ、タロイモ、なによりも眼の前の海で取れるマグロとカツオで生計を立てるしかなかったそうです。取れたカツオを鰹節にして、それをスリランカに輸出し、その旨味がスリランカカレーの名脇役になったのです。
スリランカカレーはスープのようにさらさらしていて、言わば、味噌の代わりにスパイスで仕上げた、鰹だし味噌汁なんです。ちなみに、インド、スリランカにはカレー粉なるものはなく、毎日毎日、その家庭独自のスパイスを石臼で粉にするそうです。まして、固形カレールーなどは日本だけです。
以前、テレビ番組『突撃インドのごはん』でリポーターのヨネスケとギャル曽根が、日本から日本製レトルトカレーを持って行き試食させ、インド人もびっくりの大好評でした。先進国入りするインドも、スーパーでカレー粉を買ってくる日が近いかも。こくまるカレールーもヒットするかな?
こんな脳天気な事を言っている場合ではありません。そのモルジブは地球温暖化で海面上昇が続けば、海抜1メートルのこの国は、2100年には海中へ沈むと。日本の鰹節のルーツと言われているモルジブフィッシュを、この世から消えさせてはいけません。