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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2009 20

毎日、寒い日が続きます。毎年の事ながら、年の暮れの繁忙期の後にやってくる年明けの普段の毎日は、余計に寒さがつのります。築地の店は、全面全開のバリアフリーなので、室温は外気まかせ。しかし仕事柄、厚着モコモコでは身動きが鈍くなる。

 

薄着で暖かい方法はないかと思案していたら、隣のゆか姉「ユニクロのヒートテックのインナー、暖かくてグー!!」と指を突き出した。「インナーって?」と訊くと、ゆか姉、あられもなくセーターを巻き上げ肌着を見せ「どうよ」。その上、ジーンズの下のぱっち(?)も。判り易いが大胆すぎる。

 

早速、ララポート豊洲のユニクロに行ったが、「今冬の販売は終了しました」とあっさり。仕方なく、近くのイオンに行き、似た様な名前の『ヒート・ファクト』を購入。ぽかぽかとまでいかないが、まあまあグー。

 

更に、妻屋のお姉さんから教った生姜湯を朝一番に飲めば、万全だ。 巷では『ジンジャラー』という言葉があるそうですが『じんじゃらー』と書けば神社愛好家で、『チンジャラー』はパチンコ狂。『ジンジャラー』と書けば、生姜愛好家、まさに私です。

 

生おろし生姜のチューブを常時携帯するほどのマニアではないが、自宅で使う生姜の量は半端ではない。生姜湯を教えてくれた妻屋さんには、配達を口実に出かけ、その都度、高知産の根生姜の塊を売ってもらう。以前は、安くて旨そうな黄色の中国産を買っていたが、漂白されていると知りやめた。度々買う生姜に、店の仲間には「生姜中毒なの?」と怪訝な面持ちをされる。

 

さて今日は、ヒートテックもどきを着込み、生姜湯で準備万端整え、お台場へウォーキングだ。前回のウォーキングで右膝に痛みが残るけれど。晴海大橋を豊洲に渡り、最初の信号に近づくと、その延長線上の工事中だった首都高の路上に人が溢れている。ガードマンが交通整理。立て看板には『首都高スカイウォークIN晴海』の文字。渡り初めだ。翌日の新聞では、六千人が集まったとか、結婚式も。

 

『渡り初め』にちっともときめかない私は、すぐさま右折して人込みから離れる。ゆりかもめの新市場駅に近づくと、対岸のビル群の間に、冠雪の富士がのぞく。強い北風が空気を洗ったのだ。何か得した気分。

 

更に四十分ほど歩いて、お台場に到着。自由の女神像の真下の水上バス発着場で葛西臨海公園行きの定期便を待つ。日の出桟橋経由で浅草に向かう宇宙船の様な外観の『ヒミコ』に乗り込む中国観光団だけが盛り上がっている。葛西行きは定員百八十名なのに、まるで貸切状態。

 

船上のデッキに立つと、日差しはあるのに、風が顔面を突き刺さる。痛い。じっと我慢。海上から、富士山をハッキリ見たくてこの船に乗ったのだから。富士山が裾野までみせ現れた。富士山は偉い。思わず手を合わせたくなるほどありがたい。

 

家にやっと着く。夕食は、青森シャモロックで軍鶏鍋だ。冷え切った身体が溶けてきた。もちろん、ポン酢には、おろし生姜たっぷり。

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