鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2008 21

春は名のみの風の寒さや・・・と早春賦のフレーズが思わず口からもれる。実に寒い毎日。例年の如く、この時期になると鼻水とのどの痛みでダウン寸前となる。そして決まって無性に食べたくなる物がある。スーパーの野菜売り場の山菜だ。

 

タラの芽、フキノトウ、ヤマウド、ウルイ、コゴミ、セリが手招きする。結局、買い物カゴの中は、山菜のパックだらけ。家に持ち帰ると、買いすぎだと小言。山菜の命は苦みに有り。春は苦みなり。あく(灰汁)が強いからこそ、寒さで弱った身体に効くんだ。そして身体が求めるんだ、と開き直るが、無視される。

 

タラの芽、フキノトウの天ぷらを口にしながらテレビを見てると、丁度、中継をやってました、タラの芽の栽培現場を。栽培だって!!

 

ビニールハウスの内側にもう一つのハウスのトンネル。高さ20㎝程のタラの木の穂木がきれいに並んで、その先に緑の芽が顔を出していた。ハウスの外は粉雪が舞っているのだが、ハウス内は15~20度(夜間は10度)に保たれている。

 

「ええっ、このタラの芽も栽培物って事」と箸が止まる。「常識よ、天然物は、もっと大きくて風味が濃いの」と笑われた。でも手軽さ、安さを求めるならこれで満足。しかも純国産。タラの芽の中国産はまだあるまい。

 

自分でもよく判らないで『野菜づくり大図鑑』という本を買ってきた。耕す土地もないのに。苗づくりから土づくり、そして取れたて野菜のレシピも付いている。パラパラめくっているだけでウキウキするのが、我ながら不思議だ。

 

暖かくなったら、ベランダの隅で眠っているコンテナを又取り出して、ミニトマトでも挑戦しますか。農業回帰元年となるかも。爺むさいと言われようが、我が家の食物自給率を上げるんだ。

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