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築地の風景
by 築地本店店長、黒川春男
2006 年8 月18 日
今夜は晴海で花火大会。とんと興味のない私は毎年繰り返されるとんでもない人混みを頭に浮かべてうんざりです。 ところが昼を過ぎる頃には空が暗くなり、サンクスのレジに花火順延との表示。とりあえず今夜は静かに過ごせると一安心しています。
ところで先日、『江戸川区の小学校で、理科の授業で栽培したジャガイモを食べた児童と教師ら77名が食中毒』との新聞記事を見て、私ぶったまげました。春先に出回る小ぶりの新ジャガならまだしも、未成熟の青いジャガイモを、しかも、新芽取りもしないで皮付きのまま、ゆでて食べるなんて、もう非常識です。何よりたまげたのは、調理をする時、6年生の児童と教員132名の内、誰一人として、その危険性に気づかなかった事です。その子供達、そして、若い教師は家庭で料理のお手伝いした事がまったくなかったんでしょうね。
ですから、巷では『料理以前の料理の常識』という本がベストセラーになり、その種の本が続々と本屋さんに並んでいます。この前も伏高のお客様で料理研究家の先生から「出版社に勤める生徒さんが、こんな本をまとめてくれたの」と新本をいただきました。初心者も、自己流の調理法が常識通りなのかイマイチ自信のないベテランミセスも、単身赴任のお父さんも!一家に一冊、とある。
先生、仰ってました。「台所に立つお母さんの手許を見慣れていれば決してやらない失敗を、この前、見ちゃったの。」先生が生徒さんに「落としぶたをして」と言ったとたん、生徒さんが落としぶたを床にたたきつけたって。又、ある時は、雑誌の料理ページを取材に来た新米編集者が「糠味噌って、どんな味噌なんですか?」って真面目に質問するので呆れるのを通りこして大笑いしちゃったと。
「料理の常識って手間がかかりそうで、面倒くさそうだと思うようだけど、基本を知れば、余分な手間を省く方法が判ってくるの。でもね、おいしくする手間は、決して省かないって忘れちゃダメよ。」と先生に念押しされました。私「はい、判りました」と本を読み始めると、有るは有るは『目から鱗の新事実』。自分流の常識の修正また修正です。食べるという作業と一生涯お付き合いしなければならないんですから。