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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2006 21

梅雨明け間近というのに毎日ピーカン、外は36度。冷房嫌いの私もとうとうエアコンのスイッチをオンにしてしまいました。一度入れると、もうつけっぱなし状態。体調が悪くなるのは決まり切っているのに。

 

以前は窓全開で一夏を過ごせたと記憶しています。年々、温度が上昇しているのでしょうか?それとも、海からの風が弱くなったのか?

 

ところで、石原都知事が2016年の第31回オリンピックに立候補を表明しました。もし、2009年にIOCが世界の5都市の中から東京都を開催地に選定すれば、東京都は、早速、2012年に豊洲へ移転した築地市場跡地にオリンピックのメディアセンター建設を始めると表明。そしてメインスタジアムを私の住む晴海に、選手村を有明に設置すると。

 

そうなると、6年後の市場移転後には跡地にプロ顧客を対象とした「鮮魚マーケット」を整備する、という案も宙ぶらりんとなる。中央区が音頭をとって発足させた「築地市場移転に断固反対する会」が「新しい築地をつくる会」へと名称を変え、方向転換した矢先にこのオリンピック騒動。

 

都知事は10年先のオリンピックで東京再生そして日本再生を謳っています。しかし、そんなお目出たい話ばかりではありません。40年前の東京オリンピックのために日本橋川とお江戸日本橋の上空を黒く覆って作られた高速道路を、今、5千~6千億円もの大金をかけて撤去しようとしています。築地の跡地利用で、この二の舞を演じなければいいのですが。

 

唐突ながら、お城大好きな私としては、東京再生のシンボルとして江戸城の大天守閣を、伊予大洲城の様に、日本古来の伝統技法(鉄筋コンクリートといった紛い物ではなく木造)で復元してもらう方が、余程、東京都民の為に有意義な無駄遣いだと思うのですが。

 

先日、映画「三丁目の夕日」を観ました。高度成長する日本を象徴する東京タワーがその姿を変えていくと共に物語は進行します。映画の最後、登場人物全員が見つめるその先に夕日に浮かぶ完成した東京タワーが映し出されます。その東京タワーが千代田城の大天守閣だったらどんなに美しいかと独り想像す私でした。

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