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築地の風景
by 築地本店店長、黒川春男
2006 年1 月20 日
新しい年を迎え、いかがお過ごしでしょうか。今年もお付き合い下さいませ。
殺気立った喧噪に溢れていた築地の街から、静まり返った田舎に帰省していました。辺り一面、白一色の雪景色です。
去年からの記録的な積雪が道の両脇にうず高く盛り上げられています。
ほんの数週間前の築地の店の場景が嘘の様に思い出されます。
伏高の常連様、皆さんお疲れ気味で、特におせち作りに取りかかった方は、
大晦日に手渡す二・三日前から徹夜が続くそうで『毎年正月は寝正月』と仰っていました。
我が家のおせちはここ四・五年、鳥取の田舎でいただいています。母親が寝たきりに近い状態なので、
町の料理屋さんの仕出しおせちになりました。
京都の料亭で修行した御主人のおせちは、
ずっと母親が作り続けてくれた、濃く味付けされた、黒っぽく煮染めた、いかにも日持ちしそうなおせちとはまるで別物です。
うす味で素材の色、味が生きた料理になっています。
正直な話、いかにも定番のおせちは、あまり好きではなかったのですが、
これなら箸が進みます。母親には悪いんですが。
土産で持ち帰ったマグロ節で、雑煮を仕立ててみました。大人には好評でしたが子供達にはイマイチだった様で、
明日は荒節を合わせてみようと思います。『お前に大人の味を教えたるけえー、判っとるだら』と
鳥取弁で子供達に挑戦状をたたきつけてやりました。
そしてそれから、伯耆の一の宮、倭文神社へ初詣に行き、倉吉から大岳院へお参りに行きました。
大岳院には、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」のモデルとなった、里見安房守忠義と殉死した近臣八人「八賢士」の墓があります。
慶長十九年、徳川幕府に疎まれ、安房(千葉県)館山から倉吉に転封された一族郎党の一人が我が家の御先祖様のようで、
館山に旅行をした時、街中で同じ姓の表札を何軒も発見して驚きました。
前々からお参りをしたいと思っていたので、「八犬伝」に因んで、戌年の今年こそは足を運びました。
ところが、墓石は苔むして、八賢士の姓名は判別せず、がっかりして帰ってきました。また、来年までお預けです。