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築地の風景
by 築地本店店長、黒川春男
2018 年1 月26 日
明けましておめでとう御座居ます。本年も宜しくお願い申し上げます。築地市場の最後の年の瀬も、なんとか無事に終了しました。二年前の正月にも同じ事を言ってた気がする。移転延期で、今年こそ(十月十一日)豊洲市場開場と宣言されたのだが、そうは問屋が卸さない状況なのだ。どうなることやら。
大晦日、元旦と、北風吹き荒れる厳寒の屋外に出る気も失せて、おせちを肴に日本酒「越乃寒梅」一升瓶が空になるまで食べては寝、起きては飲んで暮れた。
二日にはそれでも初詣には行かなければと、毎年恒例の晴海の氏神様、住吉神社へ参拝。迂闊にも、毎度、月島から佃小橋を渡るとすぐの脇道から本殿前の参拝者の列に並んでいた。大鳥居と境内の鳥居をくぐる正式な参拝法を忘れていたのだ(罰当たり!!)。今回は大回りして隅田川側の大鳥居から。二礼二拝手一礼して願い事を。破魔矢と絵馬を買い、絵馬を境内に結ぶ。絵馬は持ち帰らず、願い事を書いて境内に結ぶ事も知らなかった。
ところで、昨年求めた破魔矢と絵馬を住吉さんでお焚き上げしようとよく見ると、深川富岡八幡宮の文字。ゲッ!! 住吉さんじゃなかった。富岡八幡宮は、去年の暮れに、とんでもない事件が起こった。縁起でもない破魔矢と絵馬をどうしたらいいのか悩む。うちのやつ「ゴミに出したら」と恐ろしい事を言う。「じゃ、住吉さんでお焚き上げする?」、「気が引けるなー」、「じゃ、富岡八幡宮に行く? でもお賽銭納める気になれないの。だって、あの事件、宮司がものすごく稼いでいたからでしょ?」、「考えすぎじゃない?」。という事で今も八幡宮の破魔矢と絵馬が家にある。翌日、「縁起のいい所へ初詣する?」、「浅草寺は?」、「外国人だけだよ!!」、「上野の山は? 弁天堂も上野東照宮も五條天神も清水観音堂もよりどりみどりだよ」、「そうね」と上野へレッツ、ゴー。
実は初詣は付け足しで、東京国立博物館本館で開催される「博物館に初詣-犬と迎える新年」という企画展が面白そうだったのだ。脇目も振らず、上野公園のどんづまりへまっしぐら。東博到着。特別展ではないので一人六百二十円で入場。本館と東洋館のみ開館。本館二階の特別室へ。大階段の踊り場に、絢爛豪華なお正月飾りの生け花。正月気分が盛り上がる。埴輪の犬、陶器の犬人形、水滴犬張子、浮世絵、等々。目玉の円山応挙、酒井抱一、英一蝶の犬の絵がもろかわいい。犬への愛情がほとばしる。特別室以外の本館展示スペースに、在庫一掃処分のごとく名品が展示されている。どこで知ったか、外国人がわんさか。満腹して玄関へ。
祭囃子の音が。去年もやってた獅子舞が始まる。獅子頭をかぶる女性登場。しかもかなり年配の方。舞が始まるととかなり激しい動き。大丈夫なのかと心配になる程。笛、和太鼓、鉦のテンポが高まり、正月気分は最高。毎年の東博の初もでに是非とも。