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築地の風景
by 築地本店店長、黒川春男
2017 年2 月24 日
先月は寒い日が続き、黒ネコは外出も億劫になっていた。市場の最終水曜休みに思い切って上野へ。東京国立博物館で「春日大社 千年の至宝」特別展をやっている。春日大社は中臣氏(藤原氏)の氏神を祀る神社。どうも好きになれない藤原一族のお宝なので、もう一つ気乗りがしなかった。東博へ向かう途中、いつも大行列の上野動物園表門前は、ぱらぱら。「動物園ってチョイス、いいねぇー」と予定変更。料金大人一人六百円を払い、突進。昔、一度来たことがあったが、記憶はまだら。どうもリニューアルしたらしい。
先ずはパンダ舎へ。オス、メス別室で笹竹を食べていた。人気者だけに、人垣が続くがばっちり見れる。前に居たオバさん、「笹竹だけで栄養足りるのかしら?」。別のオバさん、「裏で馬肉食ってるそうよ」。びっくり。そしてフクロウ、ウシ、タカ。この寒さなのか、じっと動かない。少し進むとライオン、トラ舎。ライオンは寝床に入っていて見えず。トラはのっしのっしと歩き廻る。迫力満点。そしてゴリラ舎。姿が見えないと思ったら、日の当たるわらの上に黒いかたまり。子供のゴリラが縮こまって昼寝中。熱帯生まれの動物達に日本の冬は厳しい。パンダ舎並に空調完備とはいかない。
冬期の動物園は観客が減少するのだろう。あきこちで工事中。でも外国人に人気なのか外国語が飛び交う。バードゲージでも鳥達は巣の中で固まっている。ホッキョクグマ舎に行く。シロクマは元気一杯で走り廻ってる。下の池は地下から泳ぐ姿を観察できる様になっている。サル山でが陽の当たる斜面にニホンザルが群がりサル団子となる。ヒグマのでかさに驚く。こんなのと森で遭遇したら、いちころだ。ゾウさんもそこそこ元気そう。プレーリードックが意外と可愛い。
その時、なんだあの鳥は!! 走り寄る。なんと優美な姿。上半身は白い羽で下半身は真っ黒、そして長い脚。眼の回りは、頬紅ででも塗った様に赤く長いまつげがカールしている。そして黒い羽根ペンの様な冠羽が頭を飾る。まさに、創造主が生んだ傑作。しかしネームプレートには「ヘビクイワシ」。げぇ!! 気高い姿には似つかわしくない名前。手塚治虫の「火の鳥」のイメージなのに。気の毒な名前。 あんなベッピンさんに会えるとは、来た甲斐があった。しばらく見惚れる。まだ動物園の西半分が残っているが、もう十分満足。童心に返った二時間だった。動物達、見てるだけで癒やされる。自宅には、別の癒やし系の猫どもが待っている。