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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2017 27

明けましておめでとう御座居ます。皆様にとって、いい年であります様にと心からお祈りします。去年はめまぐるしく築地は動いた。先の見えない豊洲への移転は視界不良のまま宙ぶらりん。年末に必ずいらっしゃるお客様も口々に、「ここに残るんですよね。あんな所に行っちゃ駄目よ」と有難いお言葉。  

元旦の昼近く、氏神様の住吉神社へ初詣。真っ青な空が清々しい。到着するが境内には延々と続く参拝者の列。遠く佃煮の天安のさらに先まで。こりゃたまらんと即退散。勝どきに戻る。

二日目、今日こそはと、早起きする。朝焼けの空に日の出が昇る。朝風呂を浴びて、急ぎ足で住吉さんへ。静まりかえった境内に、数人の初詣客が居るだけ。二礼二拝一礼して、もちろんお賽銭も、五百五円を。五百円一枚だと、これ以上効果(硬貨)がないとなりますから。去年求めた破魔矢を焚き上げの炎の中へ。その時、境内の末社で祈る女性に見覚えが。文学座の大女優、二宮さよ子さんだった。うちのやつに、「そうだろう」と訊くと、「そうよ」。軽く会釈すると、笑顔で返してもらえた。朝早すぎるのか社務所に人の気配がない。破魔矢は富岡八幡で授かろうと向かう。

早朝なので、ここも参拝客は疎ら。すんなりお参りできた。お約束の破魔矢を。酉の絵馬がぶら下がっている。帰宅してお雑煮を食べ、新潟の酒、八海山の五合瓶を空にすると、久し振りの日本酒で出来上がりごろり。

三日目は昼から銀座へ。買い物客で溢れている。人の少ない方へ向かうとプランタン銀座前へ。去年末で閉店していた。近くのマロニエゲートで手頃な買い物をすると、昼飯できる処を探すが、どの店も店の外まで行列。うちのやつ、ちょこっと歩くけど明治屋さんの近くの中華屋さんが安くて良いとい言う。

明治屋さんも初売りののぼり旗が。チーズとワインの福袋を買う。明治屋から道を渡った路地を進むと小さな中華店が。白衣のおやじさんが、脚立に昇りガラス拭き。「やっているよ」と内へ案内してくれる。先客は三名。年季が入った店内に中国語が飛び交う。茄子炒めとエビチリ、餃子、空心菜炒めを注文。紹興酒のオンザロックを頂く。本場の料理で満足する。

四日目の朝、室温が高いのか、食卓の上の正月飾りの花がしおれ始め、南天の赤い実が、ぼろぼろ落ちる。今日は正装して新橋演舞場の新春大歌舞伎に行く。何時行ったか忘れるほど久し振りの歌舞伎だ。市川右近改め、三代目市川右團次襲名披露だ。息子の二代目右近の初舞台。「双子隅田川」、市川猿之助、市川中車、市川海老蔵の豪華メンバー。前半は筋立てが複雑で分かりづらい。後半、スペクタルな場面が次々と。三人宙乗り、大詰、本水が舞台奥から吹き出し中での大立ち回りで最高潮に。「こいつぁ春から演技がいいわい」とばかり、大満足で帰宅。

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