鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2016 19

先月、最低気温が氷点下を記録する日が続いた朝方、寝床から起き上がった途端、腰に痛みが走って、しばらく歩けなかった。数年前、トイレに行くのでさえ腹ばいで前進した腰痛の悪夢が再び。整形外科、整骨院と行くが効果なく、毎朝、出勤まで悪戦苦闘の日々が続いた。ある人に日本橋の王医院がイチ押しだと言われ、仕事の途中、タクシーを呼んでもらい向かう。診療室に入ると、王先生、即刻「腰ベルトは駄目、これを着続けてると自然治癒力が高まらないから」とポリ袋にポイされた。腰の背中側に何本かの注射を打たれると、しばらくして痛みが嘘の様に消え、築地に戻る。スタスタ歩ける姿を見て、店の仲間は驚いていた。「麻薬でも打たれたんじゃないの?」、「何でもいいんだよ!!元の身体になれば」。  

そして今回の再発、王医院に行かなきゃいけないのかと考えていると、「何よ、まだ痛いの?」と腰痛持ちの由香ねぇ。「ベルトしなさいよ、そしてこれ」と渡されたのはホッカイロ。「中国製だから、あまり熱くならないけど。寒くなると血行が悪くなり腰に悪い血がたまるのよ」。早速、腰に貼る。ホッカイロは生まれて初めての経験。じわじわ背中が暖かくなり、いい感じ。一週間ほど、ホッカイロと腰ベルトを着け続けると、時々、ウッと痛みが走るのが消え、腰痛から解放された。わーい万歳!!

腰痛が消え、しばらく振りにウォーキング。六本木の新国立美術館へ。「はじまり美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」、鳥取県の隣り岡山県倉敷市にあるこの美術館は何度も訪れている。ローマ神殿風の柱を抜け中に入ると、いち地方都市の美術館なのに、次から次へと現れる西洋絵画の名品に、その収蔵品の多さに圧倒された。明治の頃、倉敷紡績を始めとする大原財閥の社長大原孫三郎が、社会事業にも力を入れ、大原奨学会の奨学生で画家を目指す児島虎二郎の才能にほれ、三度にわたり留学させ、虎二郎の日本に本物の一級西洋絵画をとのすすめで、モネ、ピカソ、マチス、ゴ-ギャン、ロダン等の作品を買い付ける。当時としても、途方もない金額だ。中でもエル・グレコの「受胎告知」、この作品が日本にあるのは奇跡的だとまで言われている。以降、日本人西洋画家、陶芸家と収集は進む。世界に誇る美術館となる。ソファーに座り、贅沢なひと時を楽しむ。セガンティ-ニの複製画を買い帰宅。

目次にもどる

海のだしお試しセット

  • ご利用ガイド
  • プロの料理人さま、卸売りをご希望の方へ
  • メルマガ 鰹節屋の小咄

    食材にまつわる面白いお話、レシピの紹介、限定商品のご案内、「聴きだしの会」のご案内など、折にふれメールを差し上げたいと存じます。

    ※全て入力必須項目となっております

    配信先メールアドレス

    バックナンバーはこちら

  • カタログ請求
上へ戻る