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築地の風景
by 築地本店店長、黒川春男
2015 年12 月18 日
急に寒さがやって来た。そろそろ猫達には寒いかもと、パネルヒーターをつけたら、ぞろぞろとヒーターの周りに集まって、腹を広げて寝ている。
「築地、最後の年の瀬を歩く」などと築地特集の雑誌が本屋さんの店頭を飾る。そうなんだ、とうとう最後なんだと改めて思う。 築地最後のキャッチフレーズに誘われてか、観光客がどっと築地に押し寄せている。そこに外国人観光団も加わり、てんやわんや。しても日本人の財布の紐は固いが、外国人(中華系)は太っ腹。団体さん、伏高で利尻昆布一等検7キロを爆買いなんてことも。おおきに。
この原稿を書く傍らで、フィギュアスケートNHK杯を見ながらキャツキャツと大騒ぎするうちのやつ。「うるせえ」、「やったわよ、羽生くん。世界最高得点だしたわよ!!」、「判ったから、音を小さくしてよ」。ノリノリなのだ。明日日曜日から一泊二日で箱根町の芦の湯へ温泉旅行なのだ。私と猫達はお留守番。「土曜の宿泊は高いから、日曜日が狙い目なのよ」、「大涌谷は大丈夫なのか?」、「大丈夫、箱根ロープウエイは止まってるみたいだけど、噴火警戒レベルは一に下がったみたい」。うちには猫達がいるから、二人で外泊は無理。餌と水をたっぷり置いてても、たとえ一泊でもしようものなら、猫達の逆襲で部屋中汚し放題。想像するだけでも恐ろしい。
世の中には豪儀な人が居るもんです。かつて兵庫県尼崎にあった「尼崎城」。明治初期に取り壊された城の天守閣を復元へ、私財十億円を寄付する人が現れたとのニュース。家電量販店の旧ミドリ電化の創業者が、事業を始めた尼崎市に、商売で御世話になったゆかりの地に恩返ししたいと、天守閣の再現を申し出たのだ。この方、安保さんは、「城には全然興味ない」と。なのに十億円をポンと寄付。江戸城の天守閣再現にポンと寄付してくれる東京人はまだいない。
十億円なんて黒ネコには、とうてい無縁な大金だが、築地伏高の隣店、伊勢龍の由香ねぃ、「年末ジャンボ十億円と年末ジャンボミニ七千万円の二通りの宝くじ購入代金を集金ですよ」とやって来た。築地の女番長由香ねぃには、逆らえない。「やって来たわよ、とうとう十億円の宝くじ、買わないとは言わせないから!!」との気迫に、即行で六千円差し出す。内心、「高けえ!!」と思ったが、築地波除神社の酉の市で千円の熊手を買ったことを思い出す。もしかしたらとにんまり。数年前に、波除さんの熊手を買って、十万円当てましたから。