鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2005 21

新しい年が明け、あと数日で大寒です。暦どおりに寒さが極まっていきます。

ここ何年かは郷里に帰省して家族と正月を過ごしています。糖尿病で入退院を繰り返す 母親を気遣ってという事もありますが、やはりのんびり出来るというのが本音です。

しかし、正月用にと奮発して買い求めた食材も母には無関心なようで、三が日、 普段と変わらない食事をしていました。母親の心の内は計り知れません。 食べたいのを我慢しているのか、食べたくないのか。愚痴をこぼさないので 余計哀れです。

田舎ですから初詣と初売りを終えると飲み食い、ゲーム、テレビ三昧が日課です。

テレビは連日、スマトラ沖地震のニュースばかりでした。中でもタイのプーケット島は、 何度か旅行をした事があったので目が釘付けです。最後にプーケットを旅行したのが 二年前の夏休み。家族と友人四人でカロンビーチのコンドミニアムんび四泊しました。 あそのホテルはインターネットでの現地被害状況レポートを観ると通常通りの営業と あり、なぜかホッとしました。そのホテルの北にあるパトンビーチの海岸辺のホテルが かなりひどく破壊されたようで閉鎖中との赤い常時が目立ちます。

何回か食事をしたパトンの浜の岩場の上に建つレストランは一部を残しすべて 波にさらわれてしまい、その無残な写真は大津波の力を改めて見せつけています。 飛行機で七時間のフライトの先での悲劇を茶の間のこたつで見続ける奇妙な不思議さは 何とも言いようがありません。

ところで一月も半ばとなり師走の人混みが嘘の様に平静となった築地です。 それでも観光客は寿司店へと足を運びます。築地だからどの店も魚が旨くて 安いのは幻想だよ、と一言申し上げたくもなりますが、やはりお節介でしょうね。

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