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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2013 18

明けましておめでとう御在居ます。「築地の風景」も十年目に突入。灰色の脳細胞を駆使して、やっとの思いで続けてきました。手前勝手な内容をぐだぐだと書き散らしている様な気がしてなりません。が、「継続は力なり」の言葉を信じて書き続けます。皆様の御贔屓を御願い申し上げます。  

 

今年の正月は、十数年ぶりで東京でと相成りました。久し振りの東京での正月。元旦には、どこへ初詣かと思い巡るが、何の事はない、寝正月となった。

 

正月二日、伏高のお得意様の料理教室の先生の言葉を思い出した。初参りは有名な神社にお参りするんじゃなくて、住んでる土地の氏神様(産土神)にお参りするのが本来の姿なのよ、との言葉。 という訳で、佃の住吉神社に。

 

正月二日早朝、宿酔の残る身体を禊の湯(単なる朝風呂)で浴びると、寒風に備えて完全武装して出陣。月島を経由して十五分程で佃に入る。びっしりと並ぶ木造住宅、江戸の長屋もかくの如くかと見える。その先に、リバーシティーの10棟以上も立ち並ぶ超高層マンション群。奇妙なコントラスト。運河の船だまりに繋がれた小舟を眺め、佃小橋を渡り、狭い路地裏を抜けた先に、こじんまりとした神社。

 

拝殿前に三十人程の参拝者。やがて、御神体の御前に。家族の健康を祈り、その他諸々を願い、ふと横を見ると、うちのやつもういない。さっさと社務所に行き、破魔矢を授かっている。私ももお守りを。蛇の朱印の輪っかの中に「巳成金」の文字。何だか金運アップする様で、口元がほころぶ。

 

三日目も寒いが上天気。新聞記事で知った谷中七福神めぐりに、愚図るうちのやつをなだめすかし連れ出す。信仰心に火が付いたのだ。山手線田端駅で下車。最初の東覚寺(福禄寿)へ。午前ですでに長蛇の列。居並ぶ人の先に、本堂と赤い紙で覆い隠された二体の仁王像。恐れをなし次の寺へ。青雲寺(恵比寿)は、さほどの人数もなく、靴を脱ぎ本堂へ。次は修性院(布袋尊)。でかい布袋様が、にんまりと。

 

すぐその先が長安寺(寿老人)。ほんと小さな寺。谷中墓地を横切り、天王寺(毘沙門天)。何と風情のある空間、ちらっと法隆寺を思い出した。しかし参拝者の長い列にパス。東京芸大の手前の坂を下ると護国寺(大黒天)。こちらはすんなりと大黒様を拝む。上野動物園脇を通り過ぎ不忍池に到着するが、弁天堂(弁財天)に続く参道は、二百メートルを越す参拝者の行列。お堂に近づくも、寒風に怖へ、弁天堂に隣接する大黒天堂で代参拝。

 

なんとも情けない七福神めぐりでしたが、二時間余りのいい運動に。二人とも、七福神に奉るお賽銭で小銭はすっからかんになりましたが、身も心も軽くなった気がする。我が家の猫達にお土産買って、福の御裾分けを賜りますか。

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