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鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ鰹節屋のつぶやき > 私が十年以上も食べ続けている梅干を召し上がってください

私が十年以上も食べ続けている梅干を召し上がってください

 

 

「 克彦、お前、旨い梅干、売っている所、    どこか知らないかねぇ? 」

 

もう12〜3年も前の事になると思います。店の2階で昼飯を食べていると、突然、父がこんなことを言い始めました。

 

 

「 いやねぇ、昔みたいに旨い梅干を食べたくて、

 デパートで探したりしてるんだけど、売ってるのはへンに味がついてるヤツ

 ばっかりで・・・ 」

 

と、父がちょいと淋しそうな声で話しを続けます。すると母がボソッと一言。

 

「 築地で、塩だけで漬けた梅干を買ってるんですよ。

 でも、おとーさんは気に入らないのよね 」

 

紀州では、まだ寒い日が続く1月後半から2月中旬に梅の花が咲き始めます

時代なんでしょうね、スーパーの棚に並んでいる梅干の多くは、「減塩」やら「味付け」ばかり。

 

「開封後は要冷蔵」なんぞと書いてある梅干を見る度に、「梅干って保存食じゃないの???」と悪態をついていた私ですから、父の言っていることは、よーく判る。

 

店の近所の漬物屋で母が買う梅干、確かにヘンな味は付いてないけど、塩っぱいだけで、梅干の旨さが感じられない。だから私も、子供の頃に食べたような、梅干らしい味がバシッとする梅干を食べたいと思っていたのでした。

 

「 そーなんだよねぇ、俺も旨い梅干、探しているんだけど、なかなかなくて・・・

  でも、見つけたら買ってくるから」

 

と私が答えて、梅干の話はそこで終了となりました。  

 

5月には、梅の実は大きくなり、6月初旬より収穫シーズンを迎えます

それから半年経った頃、日曜日の夜、カミさんの実家で晩飯をご馳走になった。

 

「この梅干、食べてみてよ」と言いながら義母が出してくれた梅干を食べると・・・

 

 

旨いの旨くないの。

 

まさに私のイメージ通りの梅干だったのです。

 

その梅干も塩だけで漬けたヤツですから、塩っぱいんですよ。でも、築地の梅干より、なぜか塩っぱく感じない。その上、バシッと梅の味もするんですから、まさに注文通り。

 

今風に言えば、『フルーティな酸っぱさ』が味わえる梅干でした。

 

食べた瞬間、「コレ、この味だ!!!」と唸り、以来、食べ続けているのであります。

 

6月半ばから7月中旬までに漬け込まれた梅を、天気の良い日に3〜4日間、天日に干します。

弊店が通販を始めてから、いつの日か、私自身が大ファンの「あの梅干」を仕入れて販売したいと思っていました。ただ、梅干と鰹節では距離があまりに遠いので、調味料や乾麺の扱い商品を増やすことを優先しました。そして、今年になり、「そろろそ、良いんじゃないかなぁ」なんて気持ちになり、早速、仕入の算段。

 

でも、製造家さんに電話をして「梅干を卸してください」と頼んでも、そうは問屋が卸さない。やはり紹介がある方がスムーズに進みます。そこで、コネを探すべく、取引銀行に先方の製造家さんのことを調べてもらったんですが・・・これがビンゴ!!! 

 

その銀行の田辺支店がその製造家さんと取引があったのですよ。お陰様で、話はトントンと進み、4月11日、紀州田辺にある製造家さんを訪ねたのであります。銀行さん、本当に有り難うございます。

 

9月、出来上がった梅干は、一粒一粒選別されて10Kg樽に保管されます。この状態で3ヶ月から12ヶ月寝かせた梅干を1Kg詰めにパックした製品だけを、弊店向けに出荷していただいています。

今まで書いてきた「その梅干との出会い」を製造家さんに話をした後、「その梅干がなぜ旨いのか?」その秘密を聞いたところ、

 

「 ウチは、ただただ普通に作っているだけなん ですが・・・

 

 でも、しいて言えば、時間をかけて信頼関係を  築いた特定の農家さんだけから梅を仕入れて いるので、梅の品質が他所のメーカーさんよ りも安定しているとは思います。

 

梅の栽培をお願いしている農家さんです

それと、中野さんが食べた梅干が、たまたま全て、樽の中で十分な期間を寝かせて、熟成が進んだモノだったので、塩角が取れて、塩っぱさを感じなかったのかもしれませんね  」

 

との答えが返ってきました。本当は、旨さの秘密が、もっと他にもあるのでしょうが、それは企業秘密なのかもしれません。とにもかくにも、弊店には 『漬け上がってから樽で寝かせて、熟成させた、塩角がとれた梅干』だけを卸していただく事を約束していただき商談成立です。

 

梅と塩だけでつくった梅干

その日、合計4時間近く話をさせていただきましたが、仕入先の農家さんを大切にする姿勢をはじめとして、商売や食品製造についての考え方に共感できる所が多々ありました。そして「この人なら安心して取引できる」と確信し、帰京しました。そして、2011年6月、『梅と塩だけで作った梅干』の販売を開始した次第です。私が十年以上も食べ続けている『フルーティーな酸っぱさ』が味わえる梅干、ぜひ一度、お召し上がりください。

 

 

  中野 克彦
築地仲卸 伏高
 三代目店主