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黒川 春男

築地の風景

 

 

 

by 築地本店店長、黒川春男

 

 

20101022

 

9月最後の日曜日、秋日和に誘われて、久し振りのウォーキングへ。月島の隅田川テラスを北上する。日射しは夏の名残を留めるが、乾いた風がなんとも爽やか。足取りも軽い。

 

佃大橋、中央大橋の下をくぐり、石川島公園をすぎ、相生橋を渡り、越中島公園を北上。かすかに潮の香り。テラスは水門で途切れ、練兵衛橋、巽橋と迂回して、再びテラスに出る。

 

永代橋、隅田川大橋の下をくぐり清洲橋へ。この清洲橋が隅田川に架かる橋で一番好きな橋だ。昭和三年竣工とあるから、かなりの歳月を経ている。吊り橋らしいケーブルの優美な放物線、レトロな照明灯。実に格好いい。

 

清澄庭園をちょっと見て、清澄通りを北上。森下を経て、総武線のガード下をくぐると、左手に巨大な建造物が出現する。江戸東京博物館が今日の最終目的地。今回の特別展は「隅田川〜江戸が愛した風景」。この博物館が二十年以上かけて収集した隅田川の絵を描いた屏風絵、版画等をお初に、一挙公開です。

 

隅田川は、江戸の初めから昭和まで、四季折々の行楽の場として様々に描かれてきた。私にとっての隅田川の行楽は東京観光の目玉になりつつある隅田川水上バス。日の出桟橋から浅草まで、約四十分の船の旅。何度、乗船しても、面白い発見がある。

 

江戸の人達も舟遊びを大いに楽しんだ。日本橋から隅田川を上って浅草寺まで「川上り」という定番コース(江戸の水上バスツアー)もあり、吉原へは柳橋から今戸橋の架かる山谷堀まで小型の猪牙舟で上る水上タクシーコースも。

 

橋遊びも人気で、大川(隅田川)に架かる大川橋(吾妻橋)、新大橋、永代橋、特に両国橋のたもとには、盛り場、水茶屋が繁盛してた様子を語る絵も。時に川開きの両国の花火を描いた絵が多い。人、人、人の大群衆が橋を埋め尽くして、今にも橋が崩壊しそうな錦絵「東都両国ばし夏景色」は圧巻だ。

 

春の花見、夏の花火、秋の紅葉、年中ある祭りへと、質素な日常を忘れ、目一杯めかし込み出掛ける女達が生き生きとした筆致で描かれている。会場は薄明かりの照明ながら、極彩色の錦絵から、三味線の音、人熱れ、ざわめき、白粉の香りが立ち上がる。

 

やがて展示はエピローグへ。江戸から東京へと移り、風景は木造橋から鉄橋へ、錦絵から新版画へと表現は一変する。展示画の最後に川瀬巴水の木版画に釘付け。先程、隅田川テラスから仰ぎ見た清洲橋と再会する。夕刻の青白い空をバックに清洲橋の優美なシルエットが浮かぶ画だ。懐かしい人と出会った心地。野口英世様一枚で、たっぷり小一時間、楽しめる。たまには、外れもあれど。

 

 

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