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黒川 春男

築地の風景

 

 

 

by 築地本店店長、黒川春男

 

 

201017

 

 盆休みに、帰省先の鳥取から、瀬戸内海の小豆島へ二泊三日のドライブ旅行となりました。三家族、六名、二台の車で、猛暑の鳥取を出発。同伴した、美大を志す高一の姪っこが、開催中の瀬戸内国際芸術祭を観たいと言い出したのがそもそもでした。瀬戸内海にある直島、豊島、女木島、男木島、犬島、小豆島、及び 高松港周辺を舞台にした、現代アートの祭典なんだとか。

 

土庄港に着岸。先ず、アート作品の見物と、エンジェル・ロード近くの作品「宝舟」へ。港の岸壁に係留された、黒っぽい屋根付き小型和船がそれらしい。ちらっと内部に施された金ぴかの装飾が見える。六名定員で、すでに数名の客が。皆、手に持つパンフでパタパタ。冷房無しの櫓こぎ船で一時間のクルーズなんて、酔狂にも程がある。言い出しっぺの姪っこも諦めた。屋外ばかりのアート会場、しかも全島に点在。決死のアート見学なぞ即、却下。暑さを逃れて、寒霞渓へ。

 

ロープウェイの山頂駅まで一気に駈け登る。幾分涼しい。なんと!! 数匹の猿たちがお出迎え。妹は「気をつけるだぜ!!」とバッグを胸元に抱く。展望台の真下に、奇岩怪岩だらけの大絶壁。その先に、内海港とキラキラ光る瀬戸内海が拡がる。暑さに閉口して、今夜泊まる宿に電話する。早めのチェックインOKとの返事。

 

寒霞渓から真下に見えた、草壁港周辺は、醤油工場、佃煮工場が密集して、醤の郷と呼ばれ、町中、醤油の香りが漂う。そこに「島宿 真理」がある。元醤油屋さんだった建物や蔵を客室に大改修したばかりだそうだが、古材や古民具が真新しさを消して、やすらぎの客室に誘う。醤油会席が看板のこの宿は、客室の名を「ひし・お・で・も・て・な・す」(醤でもて成す)と名付けた七部屋のみ。我々は、「なの間」と「すの間」に案内された。

 

夕餉となり、母屋を渡り、個室へ。食前酒、前菜、木引き素麺までは覚えていたが、焼酎飲み過ぎで、プツリと記憶が消えた。真理にはギャラリーがあり、骨董品や作家物の食器を売っていたが、値段を見て、絶句。朝餉は、竹籠の中にいろいろな小鉢が並び、どれから食べたらと迷い箸。つかず離れずのサービス、心遣いに感服して宿を発つ。

 

定番のオリーブ油、佃煮、醤油を買って一路鳥取へ。大山の麓、岡山の蒜山高原の道の駅で一服。さすがに涼しい。来年の旅行は、絶対山だと皆で合点する。

 

倉吉に戻ると、名所になっている白壁土蔵で、妹が急に車を止めた。「赤瓦によってみん?」。ついて行くと、ギャラリーには、古物の皿や壺や、倉吉絣の古切れ等が並ぶ。値を見て驚いた。骨董市で一枚千円以上する明治、大正、昭和初期の染付けの皿が五枚千円、大徳利三千円。即決で買い占めた。最後の最後でとんだお土産が。翌日も行ったが補充なし。「ええもんあったら連絡しますけぇ」と店の人。妹の電話番号を残して、未練も残して去る。

 

 

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