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黒川 春男

築地の風景

 

 

 

by 築地本店店長、黒川春男

 

 

200720

 

春分の日に、春休みで上京して来た姪っ娘達を連れ、谷中散策に出掛けました。山手線で上野駅に着くと、駅の公園口には黒山のような人だかり。出てました大きな立て看板が、『レオナルド・ダヴィンチ展』と。芸大前を通り過ぎて、そろそろ谷中に着いたかとガイドブックを探しますが、カバンに入れ忘れてました。

 

谷中は、以前、一度だけ、朝倉彫塑館を訪ねたきりで、まったくの迷子状態。まあ何とかなると狭い路地を歩き続けると、やたら花束を手にした人達に出会います。はたと思い当たりました。今日はお彼岸だと。しかも谷中はお寺だらけの場所柄ですから。狭い路地から、三崎坂という幅広い通りに出て、坂下を見ると、お墓参りの人の波が、ぞろぞろと登ってきます。場違いに戸惑い、飛び込んだ喫茶店が『乱歩』でした。

 

うす暗い店内は、長い時間が沈んで飴色に染まり、かすかにジャズの音楽。カウンターの奥から、眼の鋭い白髪の老店主が姿を現し、一瞬、足が止まりました。気を取り直して席に着き、コーヒーを注文。雑然と飾られた猫の置物や猫の絵、猫の写真。置物と思ったら、突然、伸びをします。本物の猫でした。テーブルの上の楽苦我記帳と書かれたノートを捲ると、日本語・中国語・英語・ハングルで綴られた来訪者の声とイラストがびっしり。猫好きが集まる店だったんです。そう云えば、谷中の町のあちこちで野良猫達と出くわしました。尻尾をピンと立て、堂々と歩く猫に、谷中の猫は一味違うと皆で大笑い。

 

『乱歩』を出て、姪っ娘達が神楽坂に行きたいと言い出したのですが、坂道に足がガクガクしてきた黒ネコは、無理やり家に引き返しましたが、正解でした。後日、神楽坂のお寿司屋の御主人がこう仰った。「今や、昼間の神楽坂はテレビドラマの効果なのか、女子中高生が押しかけ、街の通りでは、主題歌を歌う森山良子の曲が四六時中流れている。やっと再開したペコちゃん焼きの店だけだよ、店に客が入っているのは。」「あのドラマ、ついこの前終わっちゃったのよ」と伏高の女性スタッフが残念がってました。ほとぼりが冷めた頃に行ってみようと思っています。以前のゆっくりとした時間が流れている神楽坂へ。

 

 

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