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黒川 春男

築地の風景

 

 

 

by 築地本店店長、黒川春男

 

 

200626

 

築地伏高の店先の棚の上に、年代物の福助人形が鎮座しています。先々代の頃から幾星霜を経て、もはや骨董品となっています。

 

頭でっかちに福耳、ちょんまげを結い裃を着け、座布団に正座したウチの福助さんは、更に、背中に浅草は鷲神社の酉の市で求めた熊手をしょってますから御利益が二倍です。

 

これに招き猫、開運ダルマ、七福神と並べれば縁起物のオールキャスト総揃いとなる訳ですが、それじゃちと欲張りすぎです。ですから福助さんだけです。

 

黒ネコが時々昼飯に通うラーメン屋さんには、絵に描かれた金色の招き猫と並んで『仙台四郎』と名前のある肖像写真が額入りでかかってます。デップリと肥えた巨漢がどてらに羽織をひっかけ、懐手して、きものから両足をはだけて座った姿の男性です。

 

その姿にそぐわない商売繁盛、合格祈願の文字が並ぶ写真に、私は好奇心にかられて御主人に聴くと「東北の仙台周辺で祀られる福の神なのよ」との事。なんでも明治時代に仙台に実在した人物だそうだ。

 

ちょっと知恵遅れだけれど、天真爛漫、何時もニコニコと仙台の街を徘徊していて、四郎さんが立ち寄る飲食店は、なぜか客が増えてその店は繁盛するというジンクスがあったそうです。そして、商売人達の間で、客寄せの生き神様となったという。

 

御主人「四郎さんの袖をいくら引っぱても見向きもされない店は、いつしか身代を失ったそうですよ。きっと四郎さんは上辺を取り繕い、下心見え見えの客あしらいをする店とそうでない店をかぎ分けたんでしょうね。」私、その時気が付きました。何時もニコニコと愛想のいい御主人が四郎さんそっくりだと。

 

店に帰り反省しました。なぜなら私は最近、イライラする事が多く、仏頂面してる事が多いと内心思ってたからです。その訳は、築地に来る客層が、がらりと様変わりして、削り節の入った木箱の中にカメラを差し入れ写真を撮る輩とか、本節を手に取ると顔に近づけて記念写真を撮る輩とか、食材を求めて築地に来るというより、被写体を求めて築地に来る人が多くなり、うんざりする事が多くなったからです。

 

四郎さんは、きっとこんな顔をしてる店には気安く立ち寄ってはくれませんよね。もっとおおらかな気持ちでいなければ。いいお話をして下さったラーメン屋の御主人に感謝、感謝です、もちろん『仙台四郎さん』にも感謝します。

 

 

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