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黒川 春男

築地の風景

 

 

 

by 築地本店店長、黒川春男

 

 

201525

 

八月半ばの五日間、社員交代での伏高の夏休みに帰省した。東京駅の六時、駅構内の土産物店を物色してお菓子を五点。ずっしりと重い。ゲッ!! 一万円近く。定刻で出発。昼1時倉吉に到着。迎えに来た妹の車で、食材とお酒を買い込み、妹の家に。上の妹と里帰りしてる臨月の次女等家族も合流する。

土産物の菓子を渡すと、菓子箱の裏を見て、皆が、「トレハロース、トランス脂肪酸、砂糖。添加物たっぷりだが、やめとくわいな。お腹の子供に悪いけー」と突き返された。しかし土産物は、そっくり、翌日、おやじを迎えに行った特養老人ホームで、職員の方に「東京の兄から皆様へのお土産です。つまらない物ですけど」と見事に生き返った。

姉妹交代で、週に二〜三回、面会して洗濯物を届け、折々には付け届け。時々は外泊して小旅行。妹達、どや顔で「施設の皆から、幸せだいな、おじいさんはと言われとるだーぜ」と嫌味の二重奏。「判っとるけえ、皆生温泉代は、よし、きた。任せとけえや」と私。

今回は、皆生シーサイドホテル。新装の東館和室と、おやじと黒ネコがツインルームに。トイレの近いおやじはベッドでないと、すんなり起き上がれない。車イスを借りて、夕食へ。全館バリアフリーの筈だが、難あり。嫌な予感。部屋に帰り、女どもは風呂へ。おやじは椅子でこっくり。痛風の私、しばらく続けた準禁酒の呪縛を解き、持ち込んだワインを一本空ける。久し振りの酩酊。そのままぐっすり。翌朝。五時前に目覚めて、ヤッテマッタ!! その時、携帯が鳴る。「おやじ、大浴場に行きたいだって」と妹。やってきた妹、「なにやっとるだいな。このようたぼ(酔っ払い)、夜中に何回トイレに行ったと思っとる。全然寝とらんが!!」と苦笑している。「はい、はい。かしこまりました」。妹と二人、車イスを押してエレベーターで地下一階に。

大浴場は、公道を隔てた西館にあるので、地下通路を渡らなければならない。エレベーターを出ると、下り階段と長い地下通路。その先に又上り階段。車イスはあきらめ、よちよちと階段を下り、上る。手すりがあるからなんとか。もうクタクタ。風呂場に入ってからが大変。浴衣を脱がし、ゆっくりと浴室へ。介護用の椅子に座らせ、三助になった気で、頭の先から爪先まで、ごしごし洗う。よいしょと湯船に入れ、急いで引き返し、私も速攻で、ごしごし。何とも慌ただしい。温泉気分は素っ飛ぶ。露天風呂に行く気も失せた。

築地に帰って、来客のご婦人。「母を三日間、養護ホームのショートステイに出したんだけど、ほんと生き返ったわよ。在宅介護より五万円足が出るけど、ホーム探してみるわ」。「共倒れにならない様に、そうして下さい」とすらすら言えた。「食べれるうちは、美味しい物を食べたいから、築地に来るの」と鰹節を買って行かれた。

 

 

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