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黒川 春男

築地の風景

 

 

 

by 築地本店店長、黒川春男

 

 

20141219

 

ついに師走に突入。歳を取ると時間の過ぎるのが加速すると言いますが、本当にアッという間に一年が過ぎていく。一ト月も、一週間も、アッという間。週一度の早朝の不燃物のゴミ出しも、あれっ、二・三日前に出しに来た様な錯覚に陥る。単なる呆けかも。  

先月の日曜日、神保町に本を探しに行く。バスで銀座まで出て、日比谷公園から紅葉めぐりのウォーキング。鶴の噴水のある池で一休み。藤棚の下のベンチに腰掛けて、園内の売店で買った缶ビールで、そっと乾杯。広い池に陽光がさして、日の強く当たる部分が紅く黄色く紅葉して、水面まで染める。うっとり。

日比谷公園は思ったより広い。祝田門に向かい、警視庁前の交差点を皇居側に渡り、おお堀沿いを進む。カラフルなランニングウェアを着た一団が次々と向かってくる。忙しいったらない。堀の水は澄んで、何百羽もの水鳥達が羽を休めている。

千鳥ヶ淵公園から見ると、対岸の北の丸公園が島のように見える。インド大使館前を通り過ぎると、もう靖国神社は目前。大鳥居へ下る参道の両側に、黄金色に燃え上がる大イチョウの木にさよならして、最終目的地の神保町に向かう。

ずっと前からテレビがつまらなくて仕様がない。BS、地デジの昼番組は、青汁の宣伝かハングルドラマばかり。そんな時に見るのが、「世界の車窓から」というDVDブック。テレビ番組を再編集したもの。味のある石丸謙二郎のナレーションで、一時間近くの小旅行を体験できる。我が家には三十冊ほどあるが、第二期発刊もあり、その数は五十冊を超える。我が家にないDVDを探しに来たのだ。

何軒もの心当たりの本屋さんを尋ねるが、皆無。歩き疲れて、いつものドイツ料理店ランチョンでランチをいただく。ふと窓の外、道の向こうに電飾の広告。飛行機、車、列車等がちかちかと流れる。乗り物専門店と気付く。 表通りから少し奥まった店。自動扉を開けて入ると、主人はいない。車、バイク、鉄道列車、飛行機、船舶などの雑誌のバックナンバーが、びっしりと天井まで棚を埋める。目を凝らして探すが、有りそうにもない。主人が出て来た。うちに来る客筋じゃないなと見抜かれた気がした。「『世界の車窓から』というDVDブックを探してるんですけど」、「ちょっとどいて」と積まれた箱をどけると、数十冊のその本が。撰びに選んで十二冊を買う。金、七千円也。主人の強面の表情がちょっとゆるんだ。家に帰ってよく見ると、二冊ダブっていた。しかし大収穫だった。ささやかな小市民的幸せにひたる。

 

 

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