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黒川 春男

築地の風景

 

 

 

by 築地本店店長、黒川春男

 

 

201328

 

先日、体格がいい青年が築地伏高の店先に。「ばあちゃんから教えてもらったソーキそば(沖縄そば)を作りたいんだけど、血合入りと血合抜を下さい」とのたまう。黒ネコ、ソーキそばのダシがどんなものなのか、ちんぷんかんぷん。取りあえず、上削りの鰹荒節をおすすめ。そばつゆにマグロ血合抜は、ちと違うと、おすすめしなかった。  

年頃からして、沖縄から東京に新入学した学生さんなのかも。故郷の味を再現したいのか。昼休みに、沖縄県立芸術大学に入学した姪っ子に送ってやろうと、ウォーキング途中のブックオフで探した沖縄関連本をパラパラめくっていると、「沖縄の味、カツオ節のチカラ」のページが。ありゃ、これかいなと読む。

沖縄は、本土の七倍ものカツオ節(方言でカチュー)の消費地。沖縄料理というと、なんでも豚肉ダシだと思っている人も多いけれど、味の決め手はカチューだけでとるのが基本なのだ。そして、なにより沖縄のカチューんぼ特色は、カビをつけてないのだとか。湿度が高い沖縄では、カビをつけると悪玉のカビまで繁殖する危険があり、その為、カビをつけないのが沖縄のカチューの伝統になったらしい。いわゆる裸節だ。那覇にある松本商店では、山積みされた裸節から好みの節を選び、血合部分をグラインダーで削り取り、集めにも薄めにも、好みの厚さに削り、袋詰めしてくれるとか。「これだ!! あの青年が探していたのは、カツオの血合抜だっただ」と合点した。

なんという偶然か。あの青年が店先を通り、二軒横のよねくらさんで買い物をしていた。買物が終わった頃合いをみて、手招きする。本のページを開いて、「カツオの血合抜の事じゃないですか」と差し出す。青年、熱心に読んだ後、「写メしていいですか?」とスマホで七・八ページ写真を撮り、「判りました、カツオ血合抜いただきます」と嬉しそうに買ってもらった。

一番ダシだけなら薄削り。二番、三番ダシをとるなら厚めに削り、お湯をグラグラ沸かし火を止め、大量にカチューを投入。待つことしばし。網で漉すと黄金色に輝く一番ダシが、汁物のベースに。残りカス(カスといっても煮立ていないので、まだたっぷりエキスが残っている)に水を足して、コトコト火にかければ、二番ダシ。ラフテー(豚肉の角煮)などの煮物に。自宅で削るカチューは、ダシ用というより、細長く(素材にからみやすく)削って、そのまま料理の調味料として使う。 カチューを削って出た粉は、大量にためてチャンプルーやジューシー(雑炊)の隠し味に。最後の最後まで残らず使い切る、なんとも見事なカチュー天国。昆布消費量も全国一〜二位とか。

カチューの濃いダシで減塩効果。昆布で大量の食物繊維をとれば」、元気で長生きなのだが、実は今や沖縄はかなりやばい。以前は、長寿県一位だったが、女性は三位。男性は今や三十位。かなりの肥満県になった。米軍の占領下に持ち込まれたファーストフード、肉の缶詰などの高カロリー食材に慣れ親しんだからだ。今からでも遅くはない。昔の味を取り戻せばいいだけだから。

 

 

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