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黒川 春男

築地の風景

 

 

 

by 築地本店店長、黒川春男

 

 

201220

 

春は名のみの、風の寒さやと春は未だ来たらず。えろう遅うおまっせと文句をつけた途端、今日は汗ばむ陽気。心が浮き立つ。

 

築地、波除神社前の通りと晴海通りの交差点の角に、「東京チカラめし」のド派手な看板が出来上がった。ここ数年で、六十店舗近く急成長したチェーン店だと初めて知る。元祖焼肉丼の看板。吉野家の煮汁で仕上げた牛丼ではなく、焼いた牛肉を御飯に乗っけたもの。ちょっと前、その店の数軒先の吉野家で、焼豚丼を食べたが、タレが甘くてというと、「吉野家の焼豚丼こそ、東京チカラめしのパクリなんです」と伏高のスタッフが自慢気に言う。更に「だから、吉野家一号店の築地場内は無理でも、場外店の数軒手前に殴り込みをかけたんですよ!!」。事の真相はどうであれ、若いのにポッチャリ体型、つやつやの顔の照り、あべちゃん、牛丼食べすぎじゃないの? と心配になる。

 

糖尿病シンドロームの私は、牛丼の御飯を半分そっと残す。体内に消化されると糖分になる炭水化物は、1日60gまでと悩める毎日。その糖質ダイエットを始めて一年八ヶ月経った。七十八キロあった体重は六十五キロに。しかし最近、六十九キロにリバウンド。

 

朝食は店の近くの東都グリルに行く。私の顔を見るなり、女将さん、「朝定一丁、御飯三分の一」と調理場へオーダーを通す。大声なのでちょっと恥ずかしい。なにしろ、周りは働き盛りの築地人が、「大盛りにして」と注文する人が多いのだから。その朝定の御飯も半分残す。なのに何でリバウンドするねん!! 原因は明白。家に帰ってからの早い夕食。パスタ、炊き込み御飯、ちらし寿司等を「ちょっとだけ食べて」と並盛りが出てくる。ワインの酔いが回ってくると、いつの間にか、半分消えている。「殺す気なのか!!」悪態をつくのだが。身近な家族が糖尿病を患い、ボロボロの体になるのを実感してないのだから、説得力に欠ける。

 

小腹の空いた昼時には、それでも、ふらふらと何を食べようかと、あっちの店、こっちの店と物色して回るが、結局、いつもコンビニでチンしてもらう野菜スープと6Pチーズ、ヤマザキのランチパックのタマゴかツナサンドとなる。

 

季節と共に移り変わる旬の味を思い切り堪能したいと欲求不満がたまる。週一回でも和食の店に足を運びたいと思うのだが、夕方ともなれば、こっくり、こっくりと舟をこぎ始める寄る年波が出掛ける元気を奪ってゆく。せめてもの慰めが料理本を買ってパラパラとページをめくる事。溜まって行く料理本に、「当てつけなの? 料理が下手だって事?」と叱られる。

 

 

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